やっぱり最後が台無しだ
★★☆☆☆
あやめ横丁を当然知らない読者と連れてこられた主人公の視点が重なって、次々と横丁の謎が露見していく・・
それらは楽しんで読めた。
しかし、、最後の六段目は、時間経過の表現と辻褄合わせ、強制的な終止符。小説家ならもう少し丁寧に扱えばいい物を、非常にぞんざいな締め方。
毎回残念に思う。
心温まる作品
★★★☆☆
命を狙われ、あやめ横丁から出てはいけないといわれた慎之介。
だが、慎之介ばかりではない。ここで暮らす人たちもまた、あやめ
横丁から出ては暮らしていけない事情を抱えていた。ひとりひとりの
事情が明らかになるにつれ、やりきれない気持ちになるのは慎之介
ばかりではない。私も同じ気持ちになった。特に太吉の身の上に
起こったできごとは、読んでいてつらかった。幼い心に、どれほど
深い傷を負ったことか・・・。
つらいできごとを味わい、心に傷を負った者たちだから、人を思い
やる気持ちも強いのだろう。あやめ横丁の人たちはみなやさしい。
居心地がいいあやめ横丁だが、やがてそこを出て行かなければ
ならない慎之介・・・。知り合った伊呂波やあやめ横丁の人たちの
行く末は?ラストはほろ苦く、ほろっときた。心温まる作品だった。
設定に少し無理が
★★★☆☆
主人公があやめ横丁で暮らすようになってからの住人との係わり合い、それにより成長していくさまはいかにも宇江佐真理の小説という感じだが、
そもそも婚約者の密夫を斬ったくだりからのストーリー展開が不自然。
婚約者の自害により相手の家に跡を取るものがいなくなり、絶家となるなどとはありえない話。
武家ならばなおさら養子を取って跡を継がせるはずで、相手の家の家臣も浪人になるわけがない。
むしろ娘を失った相手方の親の私怨というものに絞ったほうが自然だったと思う。
白地図を埋める如く
★★★★★
読み進むにつれ、頭の中にあやめ横丁の地図が構築されて行く。
物語が箱庭の中で展開されているような楽しさを味わえた。
市井を描く宇江佐小説の中でも秀逸の一作。
宇江佐節
★★★★☆
宇江佐 真理さんの作品をちらほら読んでいますが
やはり、市井ものがいい。
この作品はご本人も言われていましたが、
すこしファンタジックな設定ではあります。が、
その、「救い」こそが粋だと思いました。
これは、ぜひ読んでほしい作品です。
あと、できれば横丁の人々の姿をもっともっと見ていたかったです。
だから、4つにしました。
最後に、「いろは」のおきゃんなところにぐっときました。