最近の『むこうぶち』はつまらなくなったという人に
★★★★★
口を尖らせての「チィ!」の発声で一部に人気の、江崎さん再登場の巻です。
『むこうぶち』は好きなマンガですが、最近はどうもマンネリと感じており、
マンガ喫茶で江崎さん目当てに、久しぶりに以前の巻を読み返してみたのですが……、
何これ、すげえ面白いじゃん。
最近定着した感のある、以前登場したキャラクターが傀に再挑戦するという、
上野の秀に続いての二度目の敗者復活ストーリーになります。
敗者復活は、人鬼に出くわしたことによる立場や内面の変化、傀の麻雀を知った上で
どう対応するかなどが見どころですが、傀に人生のドン底を味わわせられた江崎だけに
見どころたっぷりです。何と言っても、成長した江崎のカッコいいこと。
『むこうぶち』の基本パターンである、傀と「今回の敗者」とその他二人による麻雀も
面白いのですが、キャラの立った四者が卓を囲み、四様の思惑を持って麻雀をする
『むこうぶち』はこれほどまで面白いのか、と改めて驚かされました。
闘牌と心理描写が緻密にからみ合い、最後にはおなじみ、「今回の敗者」が
何を切っても傀に「御無礼!」とロンされる”ぐにゃ〜”っぷり――文句なしです。
ということで、(自分を含めて)最近の『むこうぶち』はつまらなくなったという人は、
最終回になるのかもしれませんが、闇のフィクサー・劉大人がほのめかした、
江崎を含む極上のメンツを傀にぶつけるという対戦を期待して待ちましょう。
この巻のクオリティーが、急逝した原作の安藤満さんによるもので(時期的に
どうなんだろ?)、今後は再現不可能なんてことがないことを祈ります。