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丸山眞男と平泉澄—昭和期日本の政治主義

価格: ¥3,990
カテゴリ: 単行本
ブランド: 柏書房
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まさに今必要な視点 ★★★★★
昨今の一方通行な議論や主張が氾濫している中、丸山と平泉という筆者の言うようにまるで
正反対と思われる二人の思想家・学者を比較する事で、その共通点と日本思想史における新たな見解をしめそうとした本書は、まさに何のために思想を学ぶか、議論するかを体現した書といえよう。
自分の主義主張と一見反対の立場と思われる人の意見を聞くことで、自己の主張を不断に検証する事を通してしか、我々人間は意見の対立を乗り越える事はできない。
本書を書こうとしたその視点こそ、今の日本の安っぽい直情的な議論があふれる中にあって必要だと思う。
大胆な枠組の説得力 ★★★★★
「丸山真男を読む人は平泉澄を読まず、平泉澄を読む人は丸山真男を読まない。」

本書冒頭の一文である。まさにその通りであろう。だが、著者よりも下の世代である評者などは、丸山真男も平泉澄もほとんど読んでいない。不勉強と言われれば返す言葉もないが、彼らが今や時代の彼方に霞んでしまっているという事情もないわけではない。

この両者はともに、昭和期日本において政治主義が興隆したその時代に、真綿のように模糊とした日本主義に抗して、絶対的始点としての理念を打ち立て、そこから近代的日本人を確立すべく、人々を政治的に動かそうとした、という点に共通性を有する。著者はそう説いている。

そこから著者は「政論記者丸山真男」と「歴史神学者平泉澄」を論じ、その両者が交錯した昭和前期の40年を論じる。ここで両者が賭けた「政治」を実感として把握することは評者にはまだできないが、日本におけるナショナリズムを論じるに当たっては、避けることのできない論点がここには示されているように思う。

個人的な感想を言えば、読んでいて面白かったのは何と言っても平泉澄を分析した第2章と第4章である。平泉が「いかに理解されなかったのか」、この誠実にして敬虔な人となりに触れるに及んでは、「狂信的歴史家」といったありがちなレッテルに込められている何ものかに思いを致さざるを得ない。

(むろんそれは程度の差はあれ、丸山にも言えることなのであるが…。)
次作へも期待します! ★★★★★
 一気に読了しました。その学識は無論のこと、本書で提示される問題設定が真に筆者の誠実な思想遍歴の過程で、反芻され、濾過され、研ぎ澄まされていることに、引き込まれずにはいられない。知的廉直という言葉が筆者にはまさに相応しい。
 願わくば、今後の研究成果として、筆者の信仰告白ともいうべき「自発的で非政治的な文化活動の活性化」(あとがきP.337)が、依然として「価値相対主義の泥沼」の真っ只中にある現代人の生き様にどのように関るのか、是非示してほしい。「政論記者」でも、「歴史神学者」でもない(であろう)筆者にかかるお願いは法外だろうかと自問しつつ・・・
思想史の著作として傑出した内容 ★★★★★
近年の丸山ブームの中で出た著作であるが、その内容において群書に抜きん出ている。
「おおやけ」の「内実」をめぐって左右両極にわかれた、ふたりの思想史家をとりあげ、大胆に比較することで戦前から戦後にかけて知識人が争ったものはなんであったかを明らかにしようという意欲にみちた著作。
思想にかかわるものの情熱がひしひしと伝わり、地味な思想史の著作でありながら読むものの胸を揺さぶる感動がある、出色の本。今後、丸山を巡る研究において本書を無視することはできないであろう。本書によって我が国においても「思想史で青年にすすめたい本」が出現したというべきである。