職人としてのミクロの目と、自分自身が歴史に関わっているだけある「引いて見る感覚」のバランスがいい。300年前の職人の迷いが読み取れる仕事・300年後の職人に今日の自分の判断を採点される仕事…というのは、ちょっと気長で面白い。
私も京都、奈良を歩くのが好きだが、また一つ、この町を歩く楽しみを与えてくれ、いにしえへのロマンに思いを馳せない訳にはいかなくなる。思わず古寺巡りをしたくなる一冊である。