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爆笑問題のニッポンの教養 検索エンジンは脳の夢を見る 連想情報学 (爆笑問題のニッポンの教養 29)

価格: ¥819
カテゴリ: 新書
ブランド: 講談社
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検索しているのだとすれば、あなたの頭の中を検索している。 ★★★☆☆

 NHK教育テレビ『爆笑問題のニッポンの教養』の第30回放送内容を書籍化したもの。放送は観ていないが、面白く読んだ。

 内容は、高野率いる研究グループが開発した「連想検索」技術を用いた書籍検索の話が中心。現在の代表的な検索エンジンの原理がキーワードの有無に基づいた単純なものであるのに対して、連想検索では、出現する単語の類似性に基づいて内容的に関連の高いと思われる情報を引き出してくる。

 放送では、連想検索の原理や技術的詳細については立ち入らず、高野の問題意識そのものを大きく扱っていたようだ。私が面白く思ったのは、彼が現在のWeb検索に対してかなりネガティブな問題意識を持っているように見えた点。

 連想検索の出発点には、「ハイパーリンクによって信頼性を保証された、豊かな知の宝庫」になるはずだったWebが、実際には巨大な井戸端会議場にしかなっていないという現実がある。それにも関わらず、「Webさえあれば世界のあらゆる情報が手に入る」という素朴な信念は急速に広まりつつある。Web利用が人々の想像力を失わせていくような、そんな事態に一石投じたいようだ。

 高野は、単にデータベース検索の精度を高めたいと考えているわけではなく、個々の利用者の頭の中にある漠然とした関心の広がりを可視化するツールとして連想検索の技術を考えているようだ。頭の中に検索結果という細切れの情報を大量に残したところで意味がない。むしろ、そもそも頭の中に存在していた情報間の(本人も気付いていなかった)関連性に「気づき」をもたらすツールを創ろうとしている。彼の「検索しているのだとすれば、あなたの頭の中を検索している。」という言葉にもそれは表われている。

 ちなみに、「連想情報学」とは高野の造語。人間の知の仕組みに対する(認知科学や脳科学ではなく)コンピュータ科学からのアプローチを考えていて、こういう術語が生まれたようだ。