インド―中国―日本を繋げて見るスタンスに期待大
★★★★☆
インド思想を専門としてきた著者が日本仏教思想の誕生を画す最澄と空海に取り組んだ本。
インドの観点からみるとこの二巨人について、いろいろ語るべき点が多いと思われ、期待して読んだ。インド仏教との比較は木に竹を接ぐような印象があり、融通無碍とまではいかなくても、もっと縦横無尽に語ってほしかった。それには中国仏教の様子をもっと説明する必要があったかもしれない。
また、最澄については著者が自家薬籠中の物としていない様子がうかがえ、生硬な書きぶりと感じた。空海とインド思想との違いについては、空海の独創性とともに限界性をもっと検討してほしかった(歯切れの悪さを感じました)。すべて空海の独創性の発露と賞賛する従来評価とは違う視点をもっとはっきり打ち出してこそ本書の価値が高まったのではないか???
インド―中国―日本の関係性のなかに空海を見るスタンスには大いに期待するだけに注文が多くなってしまいました(妄言多謝)。
【追記】2009年3月に出た武澤秀一著『空海 塔のコスモロジー』(春秋社)を読み、なにか気になって、再び本書を開いた。1年ぶりの“再会”だったが新たな“発見”があった。最初の時はあまり感じなかったのだが(これは読む側の意識の持ち方の問題)、本書『最澄と空海』は空海の思想の身体性を強調しており、そのことの意味にやっと目を見開かされた。塔も仏像も宇宙の身体だった!
この本は何度も読み返す必要がありそうです。
非常に分かりやすい天台・真言教学の解説
★★★★★
本書はインド・中国における仏教の興隆・衰退の歴史的変遷を踏まえた上で、平安初期に入唐した最澄と空海が帰朝後にうち立てた天台・真言教学の日本的特徴を中心に述べている。
仏教哲学はそれ自体が難しく、解説を読むにも専門用語の知識がないと分からない、といったことが多いのではないだろうか。しかし、本書は平易な言葉と簡潔な文章で書かれており、一般の読者にも理解しやすい。また、入唐するまでの最澄・空海の修行スタイルの類似から考察される、アニミズム的な思想は興味深い。
これまで仏教哲学は難解だと敬遠してきた人にはおすすめの一冊である
非常に分かりやすい天台・真言教学の解説
★★★★★
本書はインド・中国における仏教の興隆・衰退の歴史的変遷を踏まえた上で、平安初期に入唐した最澄と空海が帰朝後にうち立てた天台・真言教学の日本的特徴を中心に述べている。
仏教哲学はそれ自体が難しく、解説を読むにも専門用語の知識がないと分からない、といったことが多いのではないだろうか。しかし、本書は平易な言葉と簡潔な文章で書かれており、一般の読者にも理解しやすい。また、入唐するまでの最澄・空海の修行スタイルの類似から考察される、アニミズム的な思想は興味深い。
これまで仏教哲学は難解だと敬遠してきた人にはおすすめの一冊である。