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からっぽの世界

価格: ¥213
カテゴリ: コミック
ブランド: 青林工芸舎
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『神の悪フザケ』講談社 1989年5月 ISBN 4061765566 『嘆きの天使』青林堂 1990年8月  ISBN 4792602009 『花咲ける孤独』青林堂 1993年1月 ISBN 4792602270 『神の悪フザケ』改訂版、青林堂 1995年11月 ISBN 4792602610 『自殺直前日記』太田出版¥800本、1996年6月  ISBN 4872332814 『魂のアソコ』青林堂 1996年7月(限定1000部、箱入り、CDと小冊子付き) 『からっぽの世界』青林工藝舎、1998年1月 ISBN 4883790010 『自殺直前日記 - 完全版』(『QJブックス』7)、太田出版、1998年10月 ISBN 4872334191 『嘆きの天使』青林工藝舎、1999年11月 ISBN 4883790452 『定本神の悪フザケ』青林工藝舎 2000年5月 ISBN 488379055X 『花咲ける孤独』改訂版、青林工藝舎、2000年9月 ISBN 4883790576 『魂のアソコ』改訂版、青林工藝舎、2009年7月 ISBN 4883792935
虐げられた者の不愉快な眼 ★★★★☆
 山田花子という漫画家は24歳で自殺しました。統合失調症だったそうです。
 彼女の漫画は、ギャグ漫画の体裁を取りながらも、ヤマやオチがほとんどありません。そこに描かれるのは様々なシチュエーションにおける強者と弱者。そこで虐げられる弱者の内面。
 
 山田花子の描く漫画では、強者も弱者も、同じようにどす黒い感情を渦巻かせています。美徳は徹底的に排除され、ただ人間関係のぎくしゃくした感じ、場の気まずい空気、鬱屈した思いが実直に描かれます。

 たとえ障害を持った人が起した事件でも事件には変わりないし、内向的で意見をあまり言わない子だから優しい訳でもない。当たり前なのに、誰もがあまり見たくないから目を背けて、意図的に忘れている事が、ヤマもオチもない、同じようなストーリー展開の短編をいくつも並べる事で強烈に読者にそういえばそうだった、と思い出させます。
 しかし、何でそれを忘れていたかと言えば、「見たくないから」「不愉快だから」です。
 「弱いもの」はつまり「支配下におきたいもの」で、「守りたいもの」で、それらが純真で、可憐で、無垢であればあるほど、自分より弱いという属性が強化される。そうじゃないなんて、僕らには信じたくないのです。

 おおよそ、この漫画を読んで救われる人や晴れやかな気分になる人は居ないでしょう。その苦々しさを僕ら読者は笑いで表す事が出来ない。苦笑、あるいは露骨に落ち込んだ表情。読者は、それらを一時の感情として、脳の片隅の適当な引き出しに放り込んでおいて、また彼女の作品に触れた時にでもあぁそういえば、と少し引っ張り出して来れば良い。素知らぬ顔をして、自分より弱いものを愛でればいい。
 しかし、それらを常に出ずっぱりにして生きなければならない作家・山田花子はどこに弱いものを、守るべきものを見出せばよかったのか。

 しんどくて、不愉快で、気持ち悪くて、切ない短編集でした。
衝撃 ★★★★★
ボクはこの作品に強い衝撃を受けた。作品中に誰もが自分に関わった誰か、もしくは自分自身を見つける事ができると思う。本当に人間の陰の部分だけを書いた作品なので救いになるようなところは一切ありません。読み終えるのに苦労する作品ですが是非読んでみてください。
彼女が描いた世界は不思議なほど純粋な世界だ。 ★★★★★
山田花子さんが描いたエピソードのほとんどは学校での描写だった。学校で弱者になり得る極端に内向的で他者と交わることができない子供が主人公であり常にいじめが絡んだ出来事を描写している。学校内におけるいじめる側といじめられる側という2極分化された状況においていじめる側にとっては何でもない単なる日常の出来事であっても、いじめられる側にとっての日常は地獄のような状況の連続であったりする。それはいじめる側(からかう側)には想像を絶する過酷な日常で絶望的な状況であり深く深く傷ついてしまうのである。そのトラウマを彼女は一生癒すことができず、このような絶望的で陰湿な作品を描くことしかできなかったのであろう。山田花子というフィルターを通して見える世界は偽善的であり動物的(弱肉強食)であり常に本音を露呈した不条理な世界である。彼女の心の闇を垣間見ることができる一連の作品は彼女自身の心の叫びであり、救助信号だったのかもしれない。この作品を読んだ当時の学友たちはいまだにヘラヘラ笑っているのだろうか。もしそうだとしたら、そいつらは生きる価値のない動物以下のクソ人間どもだと言っておこう。
純文学系漫画 ★★★★☆
はっきり言って絵は下手。でもその下手くそな絵が又独特の味わいを出している。普通の人なら、それなりにやりすごせるような、日常の中の人間関係の齟齬やまやかしを、作者はこれでもかというほど暴き立てている。昔、志賀直哉の短編小説や中島みゆきの歌詞に感じたような、感受性の過剰な鋭敏さが痛々しい。でもそれがかさぶたを剥がす時に似た快感に繋がる。どの収録作も良いが、「問題児」がありがちな学校での偽善を突いていて特に秀逸。この本を通読すれば、殆どの人に作者が24歳で自殺したのも全く納得がいくであろう。