臨床実践
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電話相談に携わる人に対して書かれた体系的テキストであり、主に臨床心理学からの立場で書かれているが、非専門化・ボランティアの人たちが自学自習できるように、平易な文章で分かりやすく、そして読みやすいものとなっている。
この著書の主旨としては、@善意のボランティア性A電話相談のスキルB相談員へのケアや指導をするスーパーヴァイザーの存在、の3点を電話相談に必要なものとして強調している。その3点に基づきながら、「自殺」「危機介入」「精神疾患」「常連」「性」などに関する基本的な電話相談での対応の仕方を論じている。更に相談員の適性や訓練についても細かく書かれているので、初学者にとっては有り難いだろう。
電話相談において重要なのは従来の面接相談から借用できることは多いが、それ以上に電話というコミュニケーション・ツール独特の特徴を把握していることが大切である。それは第1章「電話相談の特徴」に載っているが、それほど詳しく説明されていないので、日常生活に照らし合わせてみて自分なりに考えておいた方がよいだろう。