歴史的名著ではあるが・・・。
★★★★★
この本が名著である点は、未だこの本と比肩される概説書が登場していないことからも明らか。
概説書は多数あれど、どれもポップな印象を受けるものばかりであり、この本のレベルにまで達していない。
しかし、この本は登場してもはや30年。この本は、合衆国連邦最高裁判所がウォーレンコートというリベラルな時代があったことを知っていても、その後レンキストコートという保守的な時代が到来したことを知らない。
アメリカの憲法史に残る非常に大きな揺り戻しを学ぶのに読者が自ら他の文献に当たる必要があるという点に、この本が古典の一冊になってしまったということを思わざるを得ない。
とはいえ、外国法を本格的に研究する人にとって、その成り立ちの歴史的背景を知ることは非常に重要で、本書をその端緒とするのは、他の概説書を読むよりもずっと良いことは確か。