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バベルの謎―ヤハウィストの冒険 (中公文庫)

価格: ¥1,300
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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「ヤハウィストの冒険」の副題がぴったり ★★★★★
「旧約聖書」と言っても、実際に読んだことも無く、「創世記」についても、アダムとイブの話やカインの話、そしてバベルの塔の話を、一応知っているという程度でした。
ですから、当然のことながら、「創世記」が「J資料」「E資料」「P資料」「D資料」の四種の文書資料からなっていることも知りませんでした。それらがパッチ・ワークのようになっているということで、著者は「J資料」を中心に、まさに一語一語検討を重ね、解釈して行きます。その説明は懇切丁寧で、門外漢の私にも、しっかりとこの「創世記」の内容が把握できました。
それと同時に、タイトルにも付けられている「謎」を、作者(ヤハウィストと仮称)の書く立場になって、解いてゆく手法は、ミステリー小説を読む感覚に陥らせてくれます。その意味でも、楽しく読める興味深い本でした。
人間的に読む ★★★★☆
創世記を書いたひとりの男が存在する。その前提を認めてしまえば、その男の精神の過程、神との葛藤を描くミステリーとしてとても楽しく読めます。これほど人間的に旧約聖書を読むことはまずないでしょう。だれでも知っている「バベルの塔」の物語を、ほんのちいさな瑕疵から謎を見つけだし、その時代に戻って読み解いていく探求心には恐れ入ります。ブリューゲルの超有名な絵の中の「不気味な土」から発想するというのも、着眼点の勝利です。
もちろん、そのように読むことで、旧約の謎がひとりの男の中に抱え込まれた矛盾とか葛藤とか苦しみとか、つまり実存的な問題に還元されてしまう、ということは別の問題としてあるかもしれません。それでも、評価の高い映画の公開を期に文庫化された気配もある本書を読まない手はありません。
著者の試みに感服する ★★★★☆
 最初にバベルの塔の崩壊という既成概念を覆し、この物語の作者の精神に沿って物語を見直す時、バベルの塔の本当の意味が浮かび上がってくる。そしてこの物語がなぜ今まで曲げて解釈されてきたのかが明らかになる。神と人、その双方をむすぶ「ことば」というものについて執念深いほどに論じた書である。そしてまた旧約聖書を啓典とするユダヤ教とユダヤ民族のこれまでの運命の形をその原初の時にまで遡り解き明かす壮大なミステリーでもある。