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銀齢の果て (新潮文庫)

価格: ¥540
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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人生の終盤にやってきた過激なドラマからうかがい知ること ★★★★☆
 高齢者のサバイバルバトル、バトルロワイヤルの高齢者版ではあるが、
当の著者がその年齢に達しているので批判的にはとらえず、
高齢者の生の声として聞くことが出来る。大勢の高齢者が出てくるが、
彼らがそれぞれの立場で色々な発言をし、多様な高齢者の視点を知ることが出来た。
また、死の直前の彼らの発言、様子の描写も流さずに表現しており
実際はどうであるか考えさせられる場面である。
 背景の重い社会問題を軽いタッチで描くことで早く読み進めることが出来、
娯楽として読んでほしいが、考えるべき事は考えておかないといけない
という著者の訴えがうかがえる。
14ページまで読む間に3回声を出して笑った ★★★★★
筒井康隆様

申し訳ありませんでした。ぼくは,筒井さんの大ファンでしたが、
2005年頃から,筒井さんの本を読んでも笑えなくり、
本は出る度に買ってはいましたが,『筒井さんも年をとってしまったのか」
また笑えなかったら,本さえ買わなくなるのではないかと心配になり、
この『銀齢の果て』も,文庫になってしまうほど時間がたっても
読まずにいたのです。あっ 買ったのは単行本のときです。

で,結局それは間違いでした。
筒井さんは,ドス黒い目をご自分と同じ年齢の人びとに向けていたのですね。
14ページまで読む間に3回声を出して笑ってしまいました。

「年寄りには年寄りを扱わせればホレこんなに面白いだろ」
と,筒井さんがほくそ笑んでいるような気がします。

さて,どこで笑ったか,それは,この小説の種を明かしてしまうことになりかねないので、
紹介するのは遠慮しておきますが,きっと数ページ読んだところで,冒頭に掲げられた
住宅地図を見て,少し長い間笑うと思います

あっ それからひとつだけ知ったかぶり
『銀齢の果て』は三船敏郎さんのデビュー映画『銀嶺の果て』からとったタイトルです。
"とうとうやったか"、と言う作品〜だが物足りない ★★★☆☆
断筆宣言撤回後、"老境"をテーマにする事が多い筒井が、"とうとうやったか"、と言う作品。少子高齢化に対する政府の政策として、老人相互処刑制度、即ち、ある地区での70歳以上の老人が期限内にバトル・ロイヤル方式で一人になるまで互いに殺し合う制度を実施したと言う設定の物語。複数人生き残れば全員役人に殺される。必然的に殺し合う必要がある。筒井なら何時かはやるだろうと思っていた。少子高齢化問題や世間を覆う"優しさや癒し"風潮への風刺が込められているのは設定だけで分かるが、長編の中でこの殺し合いがどう演じられるかが見ものである。

主人公九一郎による慈悲の親友殺し、他の地区の生き残りで九一郎の助っ人の元刑事、聖職者の独善的論理、若妻を持つ陸自OBの生死の狭間で燃え上がる性欲と焦燥、愛し合う夫婦の刺し違え、このシチュエーションを楽しむ狷介な教授、聖職者への復讐を企てる老婆四人組、身体的ハンディを持つ男の智略、猟友会メンバのサバイバル合戦等と、登場人物とエピソードは多彩である。このバトルで大儲けした破戒坊が「葬いのボサ・ノバ」(作詞:筒井、作曲:山下洋輔)を街頭で唄うと言う演出もある。フザケ倒しているようだが、某作家の「*む人」等よりは深く死を考察している。最後まで読ませる筆力も筒井ならでは。

結末の趣向も一見筒井らしいが、この終着点に辿り付く辺り、私としては物足りない。筒井の作品であれば、エスカレートにエスカレートを重ね行き先が何処か全く不明と言う展開を期待してしまう。作品の主張がストレート過ぎると思う。筒井らしい捻りが欲しかった。
老人版バトルロワイヤル。 ★★★☆☆
内容は老人版バトルロワイヤルと言うのが適当かな?
文体は軽妙でテンポが良く総じて読みやすい。
人物描写にくどさも無く、筒井氏の毒と華のある文体と腕前は、
いよいよ熟達の域に達しようとしている印象を持ちました。
コンセプトが二番煎じであっても、それを生かし自分の持ち味として逆手に取りパロディでありながらも評価に足る作品として成立させてしまうとは…恐るべし筒井康隆(苦笑)
とりあえず星3つ。手癖であれだけ書ければ十分!
高齢化社会の生み出したヒズミの黒々とした部分を抽出したアンチテーゼ的作品です。
老人を殺すことは過去を殺すこと ★★★★★
帯にも書かれているが、この本が出てしばらくして「後期高齢者医療制度」の問題が出てきました。
この本に登場する「老人相互処刑制度」は70歳以上で、「後期高齢者医療制度」は75歳以上ではあるが、共に政府が出した「年寄」切り捨て制度であることに変わりはありません。
この本のラスト近くに、「老人を殺すことは過去を殺すことです。これはつまり子供を殺すことが未来を殺すことになると考える考え方と同じです。」と言う文章が出てきます。
まさにその通りだと思います。
「歴史」は、「現在」と共に、「過去」と「未来」があってこそだと思います。
それだけに、この本のインパクトは強烈なものがあります。

本の構成も、最後に政府機関の襲撃を持ってきて、どうしようもない空しさから読者を救ってくれています。
更には、コビトや捕鯨従事者などの意見を取り入れたりもしています。
そう言った意味でも、現代の日本社会を考える良い機会を与えてくれる小説になっていると思います。

更に、これだけ多くの人たちを登場させながら、一人一人の人物描写がきちんとしていることに驚かされます。
そして、それぞれの経験が生かされたバトルの作戦が採られており、そこにも高齢者の経験を生かす道があるのではと提言しているようです。

読めば楽しい本なのですが、考えることの多い本です。