世界史を学ぶ友ではあるが
★★★☆☆
山川の世界各国史を手にとり、ひもとこうとする人は、歴史を愛し、悠久な時間や壮大な空間をを想いをめぐらすことを好む人ばかりだと思うが、その際に色々な国や地域の基本的な情報を確認したいと思うことも多いだろう。
そんな折の助けとして出版されたのが本書なのであろう。どんな国でも1ページが当てられ、なかなか日本では情報の得にくい国・地域の概説的知識が得られるのは大変に貴重である。
しかし今日のようにネットが普及し、ウィキペディアが充実している環境でこの値段やページというのはなかなかに厳しいのではないか。歴史叙述ならまだしも、基本的なデータであれば今はネットであろう。メディアの盛衰、あり方について色々と考えさせられる。
申し訳ないけど、これはやっつけ仕事
★★☆☆☆
山川の「世界各国史」シリーズは何冊か持っていて、特に「バルカン史」とか「ドナウ・ヨーロッパ史」のようにマイナーな地域も網羅していてそれなりにいいシリーズだとは思っていました。
今回、シリーズが完結し最後に「世界各国便覧」というタイトルの本が出たので、「これは!」と思って買ったのですが・・・。
まず、現物を見た感想が「薄い」。私の持っている「バルカン史」が500ページ余りあるのに対し、本書はわずか280ページ。それで値段は前者3500円に対して本書3000円と割高感は否めません。
(おそらく現物を見ていたら、中を開く前に購入しなかったと思います)
さらに、内容も「う〜ん」といった内容。どんな国も公平に1ページ割いていることはよいのですが、項目が「面積」「人口」「首都」「住民(民族)」「言語」「宗教」それに「沿革」と、一時前の「知恵蔵」とか「イミダス」の付録程度の内容です。
一緒に買ったこの本のほうが、価格は1/5程度で内容は10倍以上充実しています。
データブック オブ・ザ・ワールド〈2009(vol.21)〉―世界各国要覧と最新統計
(こっちはデータブックなので比較にならないかもしれませんが、私の印象としてはそれくらいの内容の差です)
確かに、マイナーな国の歴史を調べるのにはいいかもしれませんが、1ページ程度の内容ならネットで調べたほうが早いと思います。いまやウィキペディアの内容が、詳細な真否はともかく情報量は結構なものに達している現在、敢えてこの本がある必要性を感じません。
星2つという評価も、「世界各国史」が無事完結したというご祝儀で星1つといった感じなので、実質は星1つといってもいいかもしれません。
(前述しましたが、世界各国を平等に扱ったところ、マイナーな国の歴史を一目で調べられるところには価値がありますので、星0ということではありません)
賛否両論あるでしょうが、「山川に駄作なし」と思っていた私の考えを変えなければいけないと思わせる1冊でした。