メインの事件よりもルーシーの心の揺れがとても気になる主婦探偵シリーズ第4弾。
★★★★☆
のどかなはずの田舎町に何故か毎回起きる大事件に巻き込まれてプロ顔負けの活躍をする主婦探偵ルーシー・ストーン・シリーズ第4弾です。本書のヒロイン、一男三女の四児の母親ルーシーは四十歳を迎えて家事や子育てに追われる日々に疲れ、自分自身の将来の為に新たな生きがいが欲しい心境になります。今回はメインの殺人事件の謎に加えて、ルーシーの揺れる女心がさらけ出される衝撃的な場面もあり、そちらの方もとても気になります。
長い夏休みが終わって新学期が始まり、子供達の世話から解放され時間が出来たルーシーは地元の小さな新聞社で臨時に働く事になった。しかし初日から波瀾の幕開けで、留守番中に飛び込んで来たのは、娘セアラの通う小学校に爆弾が仕掛けられたという警察の通信だった。予告時間通りに起きた爆発は幸い規模が小さく、新任の女性副校長キャロルが活躍し校舎に取り残された子供を無事に救出する。キャロルは町中から英雄と讃えられるが、意外にも数日後自宅で他殺死体となって発見される。やがて温厚な化学教師が逮捕され、娘と共に彼の無実を信じるルーシーは真犯人を突き止めるべく独自に調査を開始する。
本書の推理の部分は、キャロルが見かけ通りの善人ではない評判が表われて来て、どうやら他人から恨まれる人物らしいと判明する素直な流れですが、著者は流石にそのまんまではなく最後に一ひねりしてミステリーらしくまとめています。今回推理以上にルーシーが苦しむのは、働く事で家事に支障が出て夫ビルと口喧嘩したり、娘のエリザベスがぜんそくに襲われて心配したり、大学の講座を受講してハンサムな教授に心惹かれたりと、かなり深刻です。けれど、どんなに危ない時にも決して負けないのがルーシーの本領で、流されずに踏み止まる自制心や殺人犯にも怯まず体当たりする勇気は大した物です。苦しみを明るい気持ちに変えて乗り越えるルーシーの活躍を今後とも見守って行きましょう。
ふつうの主婦の生き方に共感
★★★★★
シリーズ4作目ですが、これまでで一番面白かったように思います。
お話のカギとなる副校長キャロルの人物像が鮮明でした。ここまですごくなくても、こういう生き方をする人っています。最後まで飽きずに読めました。
そして、ミステリ以上に面白いのではないかと思う、ふつうの主婦ルーシーの生活。
4人の子どもをかかえ(2歳〜反抗期)、昼間はパート、夜は学校。ほんとエライですよ。
自分が夜間大学に行くために、夫や子ども達に迷惑をかけまいと大急ぎで食事の支度をするところなんて、日本の主婦?って感じです。その間、夫はテレビを見ているところも‥。
家族のことは愛しているけれど、単なる主婦だけでは物足りないというルーシーの気持ちよくわかります。
末っ子を預け、新聞社で臨時のパートになった時の高揚感や、夫との安定した関係を愛しているけれどときめきが足りないかもと思う部分など。ほんとふつうの主婦ですよ。家計のやりくりもリアルで、作者の実体験?と思ってしまいます。
ふつうの主婦ルーシーの愛のある家族に、これからも期待してます。