サスペンスが盛り上がるような申し分のない設定なのだが、企業の継承権よりも少女どうしの友情や対立、恋愛、心の動きを中心に書いているので、ミステリというよりも恋愛小説に近い。それでも著者特有の幻想的、非日常的な世界が広がっていて、ただの恋愛小説とは一味も二味も違っていておもしろい。
「雪の断章」に続くシリーズ第二作ということで、前作で顔なじみになった人の顔や名前がちらちらと出てくるのもうれしい、読んで損のない一冊です。