先に読んだ「銀行大統合」が面白かったので、同じく、銀行を扱っている本ということで、手に取りました。正義感溢れる主人公の竹中が、同期で、エリートのＭＯＦ担である杉本や、理解ある上司、そして会社上層部らと、時には、反目し合いながら、総会屋対策、不良債権処理をしていく物語です。
総会屋や不良債権の実態の１つが、綿密な取材の元、克明に描かれており、こんなのなんだとへぇと思いながら、面白く読むことができました。また、正義感溢れる主人公の働きも、臭いものに蓋をする銀行員が多い中、爽快感溢れるものであり、面白く読めます。
氏の著作は、結構、面白いもの・面白くないものに分かれるのですが、これは、断然、前者に属するものでした。

普段銀行の仕事を思い浮かべるときに
あまり思いつかない裏の仕事が描かれています。

バブルが崩壊した「失われた１０年」と
よく言われますが、こんな事情があれば
不良債権処理が遅々として進まなかったのも
よくわかります。

忘れてしまっていた事件も多くて勉強になりました。

面白かったです。
住専や財政政策について説明的過ぎた部分も感じましたが、
全体のストーリー背景を理解するためには必要な解説だったし、
解説的部分さえ過ぎればストーリーに再び没頭できました。
また、最後の佐高氏の解説にもありましたが、裏にある取材力・取材量を改めて読後に感じました。
まともに新聞や専門書で勉強できない素人としては読み応えあり、
ストーリーも楽しめました。これが高杉作品の初読でしたが、これから
色々読んでみたいと思います。

　下巻では、おろかな経営者鈴木会長の迷走が、銀行経営に混乱をきたすさまが描かれているが、なんとおろかなことであろうか。
　経営者の責任や公私混同を浮き彫りにし、バブル経済に踊らされた金融機関に猛省をもとめた一冊。

銀行の腐敗の原因が、権力者の公私混同、社内政治の横行といったものに原因がある事が描かれている。
金融機関だけでなく日本の企業経営者は多かれ少なかれ当てはまるのではないか。
小説であるが、自分の勤めている会社のことを描いているように思えた。現代の日本企業の病巣を抉り出した力作。