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日本の「安心」はなぜ、消えたのか 社会心理学から見た現代日本の問題点

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: 集英社インターナショナル
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「規律訓練」 アプローチにまだのぞみはあるか ? ★★★★☆
個々の日本人はすっかり個人主義的になってしまって,もはや従来の 「安心社会」 をとりもどすことはできない. そういうなかで,著者は日本に適したやりかたをめざしつつも,個人主義の歴史がふるい欧米的な社会の実現をめざしているようだ. 「囚人のジレンマ」 など,ゲーム理論を武器にしつつ,合理的なゲームではなく不合理な人間がゲームでどうふるまうかを実験し,そこから結論をみちびこうとしている.

しかし,著者も書いているようにこの本では論理性よりわかりやすさを重視しているためか,飛躍する論理をうめることができず,納得できる議論にはなっていない. だが,東 浩紀 らのようにもはや 「規律訓練」 の時代ではなく,監視カメラのように 「環境管理」 によって安全・安心をまもる必要があるというような議論とくらべると,もしかするとまだ 「規律訓練」 的なやりかたにものぞみをつなぐことができるのではないかとおもえてくる.
著者の議論の本来持っている威力・魅力が半分しか表れていない。 ★★★☆☆

 本書は、「安心社会→信頼社会」ネタを含む、著者の持ちネタを惜しげもなく披露した、ある意味、著者の「集大成」的な本。「あとがき」に「この本は、集英社インターナショナルの編集者である佐藤眞さんと一緒に作りました。」とあるように、プロの編集者が、それなりにバラエティに富む「山岸理論」を素材として(個々の研究の文脈に拘らずに)壮大なストーリーを再構成した上で「売れる本」に仕立てた本。そういう意味で、これはプロの手による本。

 ただし、「研究者の書いた本」を求める読者には当然もの足りないだろうと思う。著者の議論の面白いところは、社会環境に対して適応的な行動をとる個々人の相互作用の結果として(そもそも個々人が適応すべき)社会環境が出来上がってくる、という視点にあるのだが…。編集者の判断なのか、この「フィードバックループ」に関する議論が、本書からは綺麗に消されてしまっている。本書の中では、人の心(行動)というものが環境次第であることが繰り返し述べられているが、その環境を作っているのもまた人の心(行動)であることについてほとんど述べられておらず、著者の議論の本来持っている威力・魅力が半分しか表れていない。その本来の威力・魅力に触れてみたいなら、やはり『安心社会から信頼社会へ』(1999年 中央公論新社)、『社会的ジレンマ』(2000年 PHP研究所)、等を読んでみることをオススメする。

 タイトルの『日本の「安心」はなぜ、消えたのか』は、本書全体の内容を考えるとややミスリーディングかと思う。最終的にはそういう話になっているものの、そのための準備の議論の方が長いくらいで、「いつになったら表題の話になるのだろう?」と首を傾げながら読んだ。ただ、それを含めて「プロの技」なのかなぁとも思う。
疑うよりも信じる方が楽だ。 ★★★★☆
 疑うよりも信じる方が楽だ。
 監視カメラを作り、設置し、その映像をチェックする人を雇い…世の中全体で人を疑ったり怪しんだりすることにに使っている資源や人をすべてもっと前向きなことに使えたらどうだろう。
 ホームセキュリティのコストどころか、鍵をかけてでかける手間もない。
 正直者だらけの集団社会では安心のためのコストがものすごい低い。そのメリットが最大限発揮されたのが日本の高度成長期なんだと山岸氏は言う。契約書を細かいところまで注意しなくても取引先に騙されることはない。会社のために尽くせば、会社も報いてくれる。「安心」がタダのようなものだったからこそ一致団結して日本の高度経済成長のパフォーマンスが発揮できたのだという。
 ところが最近は大企業もメディアも老舗料亭も国の年金ですら信じられない。いつのまに日本はこんな油断ならない社会になってしまったのか。
 むしろ安心できる社会だったのはなぜか。山岸氏の説明では日本人の特質ではなく環境として村社会であった日本は「戦略的に正直な方が得をしたから」と言うことになる。そしてこれからの社会を生きていくには「正直でいましょう」「品格を持ちましょう」といった道徳やモラルではなく、「正直にしておいた方が得だな。」「いい商品を売っておいた方が儲かる」といった商人道こそが大切だと山岸氏さんは説くのだがよくわからない。信じることと疑うことのコストについて考察するのは面白いのだが、高度経済成長は外部要因や日本という国の置かれた環境あってこそのもので、それを村社会か否かといった話で片付けるのはどうしても無理がある!
「安心」と「信頼」の次にくるもの。。。 ★★★★☆
 「安心社会」から「信頼社会」へと、社会がまるっきり変わっていくことを指摘した良書です。

 日本的な村社会がグローバル社会になるとき、形だけではなく社会制度や心持ちも大きく変わらなければならないようです。

 「安心」がなくなってしまった不安と、「信頼」への希望が持てる一冊です。
ポジティブ評価を得た人たちがトクする世の中を! ★★★★☆

冒頭、
人間は他の動物と違い、理性と自由意思を持ち、
他人のために行動できるという『利他性』があるから、
倫理体系や社会規範を作ることができ、
『しつけ』さえしっかりしておけば、『ユートピア』が実現する!?
という考えには『無理』がある…
を、検証していったところから、いきなり惹き込まれた。
いじめ根絶の最終兵器!? のロジックも面白かった。

中盤、
日本人の方がアメリカ人より個人主義だそうだ!?
一見、自己卑下をみせる控え目な民族であるように見えるが、
『旅の恥は掻き捨て』とか『人を見たら泥棒と思え』とか、
突飛な行動を起こしたり、他人を信用出来ないとか…おやおや……
逆にアメリカ人は、『渡る世間に鬼はなし』なんですと(笑) 不思議ですねー…
相次ぐ、企業不祥事とか年金問題にも触れ……あー悲し……

そして、日本社会が抱えている悩み、
『他人を信用出来なく、相手が自分に対して、
約束を守ってくれないのではないか?という不信があるので、
自分自身も相手に対して手を差し出せない。
そのために他者との信頼関係が作れない』
このジレンマ解決の手がかりが臨界質量の達成だそうだ。

徹底した道徳教育や過剰監視制裁システムでは限界がある…
そこで正直者がトクをする社会を作っていくことが重要だということ!
法制度がきちんと機能して、万が一裏切られても、
法が正直者を守り、安全を提供する!…か…成程

最終章、 突然!?
『武士道精神が日本のモラルを破壊する…』とか、
『武士道』よりも『商人道』を!とか
武士道と商人道を『混用』してはいけない!とか、
あれあれ…!? 一応は解りましたが、この違和感は……!?

名著!と書こうと思っていたのですが、
なんかとても残念な終わり方でした…