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「反日」で生きのびる中国 -江沢民の戦争

価格: ¥1,470
カテゴリ: 単行本
ブランド: 草思社
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   中国共産党の反日教育の異常さを最初に指摘したのは、天安門事件の報道でピュリツァー賞を受賞したニューヨーク・タイムズのニコラス・クリストフ記者である。彼は江沢民が国家主席になった早い段階から「(中国は)日本に対する憎しみをかき立てることをやめなければならない」と警告してきた。しかし、江沢民の反日教育に「日本の政府主脳、外務省、マスメディアまでが沈黙を守るのをしきたりとしてきた」と本書はいう。

   中国の反日歴史教育を問題にした書物は少なくない。本書の著者自身が「彼以前に北京特派員はいなかった」と評価する古森義久も彼の著書『日中再考』の中で、国民に日本人を憎悪させるのは中国共産党が正統性を堅持し続けるための基本政策であると言っている。しかし、本書の特徴は、1950年代後半の「三面紅旗」路線の大失敗から説き起こし、失政の責任を他に転嫁する中国共産党特有の「政治思想工作」を際立たせている点だろう。

   1958年に毛沢東が始めた「社会主義建設の総路線」「大躍進」「人民公社建設」は、わずか2年間で2000万人以上の農民を餓死させるという惨澹たる結果に終わった。しかし、党指導部は自らの失政から農民・兵士の目をそらすために「政治思想工作」を展開していく。「貧乏人が貧乏である所以は、地主と資本家の搾取があったからだ」「経済的搾取は国民党、蒋介石の反動政権がやったことである。この反動軍隊を支えてきたのはアメリカ帝国主義である」といういわゆる「両憶三査」で、20年前の「階級苦」と「民族苦」に責任を負わせた。

   天安門事件後に国家主席となった江沢民が、1994年に制定した「愛国主義教育実施要項」はまさしく毛沢東以来の伝統なのである。ソ連・東欧圏の崩壊で、中国の青少年は共産主義に疑問を抱き始めている。中国が資本主義への移行を進めていけば、共産党の統制力は弱まっていくことを江沢民はよく知っている。中国は今ふたたび「政治思想工作」を必要としている。しかし、自由主義経済を志向する党指導部が「階級苦」を教えるわけにはいかない。そこで「民族苦」を教え込もうというのが「愛国主義教育」であり、その唯一最大の標的こそ日本なのだ、と本書は主張するのである。(伊藤延司)

一番の被害者は、一般の中国国民ではないだろうか ★★★★☆
私は、中国の将来は、旧ソ連のようになると思っています。軍事力ばかりが突出し、一部の富裕層と共産党が私利私欲に走り、大多数の国民は貧困と差別にあえぐ。大国になっても、世界から愛されない。そんな姿を想像します。特に、毛沢東と江沢民は最悪だったと思います。日本に招かれても戦争の謝罪を迫る姿に、多くの日本人は不快感を抱いたのではないでしょうか。他人の家で悪態をつく、下品で、礼節を知らない者が国家元首とは、国民は何と不幸だろうと思います。
抗日有理、愛国無罪という中国の基本政策 ★★★★★
  日中友好を冷静になって再考するための一書としてお勧めします。
日中友好を阻む事由は、中国側にあると理解できます。中共政府は、
1950年代後半に端を発する毛沢東の経済失政の責任を国民の目か
ら逸らすために、日本には「日中友好」のスローガンを見せる一方で、
中国国内では「抗日有理、愛国無罪」という基本政策を掲げ、自国民
を反日主義者を育ててきましたのです。中共政府は、事ある毎に首相
の靖国参拝が軍国主義化の復活だと難癖をつけて内政干渉をしてき
ますが、自分では、東京を始めとする日本の大都市に照準を合わせた
核ミサイル配備を着々と準備しているのです。日中友好の最大の障害
は、中国国内の反日教育と、日本に向けた核だと確信しました。
後進国たる所以 ★★★★★
世界には、いわゆる先進国と発展途上国といわれる国が存在する。このカテゴライズは、単なる経済的な問題であるというより、その地に住む人々の日々の生き方の問題ではなかろうかと思う。私自身は、後進国の人々の共通項として、執念深い、反省しない、嫉妬心が強い、なんでも人のせいにする等々をあげたいと思うが、まさにこのような心性が発展を阻害しているのである。
さて、本書では中国がなぜこれほどまでに日本を憎み、敵視するのか、その理由が検証されている。これまで漠然と、「国内問題から目をそらさせるために、日本を敵視しているのだ」と思っていたが、本書を読み、その理由が単に中国共産党の存続のためだけにあることを知った。そして未曾有の経済発展を続ける中国が、今もって民度が低い国であることの理由に触れた気がした。中国は、その経済発展の度合いに関係なく、後進国、発展途上国なのである。
中国の反日感情を読み解く ★★★★★
重慶サッカー事件の頃読んだ本ですが、反日デモの状況をTVやネットで観察しながら、この本のレビューを書く気になりました。
なぜこんな事になってしまっているのか疑問を感じている方、現在中国にビジネスその他で係わっている方、これから係わる方はもちろん、今や一人でも多くの方に是非読んでいただきたい本です。

日中経済関係の自然な拡大の一方で、政治関係は冷え切ってしまっています。
国民感情としても上海の安全神話も崩れ、中国全土に反日運動が展開されてしまっています。
正に著者の懸念が現実のものとなってしまった言うべき状況でしょう。
「趙薇事件」など、こうした兆候は以前からあったのですが、私達日本人の多くはそうした事に無関心でしたし、実のところ、こんな状況がつい十数年の間の変化によるものであること、その背景に何があったのかを判っていません。
この本はそれを非常に判りやすくまとめた、優れた内容の本です。

著者は、中国人民がごく普通に持ってしまっている反日感情を、江沢民の治世が生み出した、両国にとって深刻な問題と捉えています。
この辺、詳しくは本書を読んで頂くとして、最近の中国政府の対処を見ていて、私個人は彼等が保身のために展開した反日教育の想定外の成果を持て余し、対応に苦慮していると感じます。
こうした解釈は、この本を読まずしてありえませんでした。

そして、この本が本当に優れている所は、中国の反日に対して多くの日本人が抱きつつある嫌中意識を煽る事無く、私達の希望として「胡耀邦が存在したこと」「対日新思考の存在」「発展する隣国が最良の隣国という考え方」に触れ、日本が態度を硬化させるべきではないということを後半で伝えている点です。
アジアの安定と発展、世界経済の成長には日中友好が不可欠であり、私達が中国におもねるのでは無く理解し、日本人としての矜持を持ちつつ冷静に対応する必要性をこの本は教えてくれています。

本当にバカバカしい ★★★★☆
21世紀の地球上で国家の求心力の為に隣国を悪者に仕立て上げるような国が実在することは本当に心の底からあほらしいとおもう、

歴史は教えてくれる、油断するなと、

150年前、幕末の国難に対し我々の祖先は見事に維新を成し遂げた、
100年前、ロシアの強硬な南下政策に対抗する術をもたない不甲斐ない朝鮮に替わり我々の祖先は日露戦争を戦い勝利した、
そして60年前、先行する白人国家の植民地支配に対するアジアの独立の為に大東亜戦争を戦うもおしくも軍事的敗北を喫した、
しかし、戦後を見れば分かる、「軍事的」に敗北しただけで目的は達したと、

国が国難に対するのは「具体的な敵」が存在するからである、仮りの敵などという呑気な考えがさていつまで持つ事やら、

本書や類書などで繰り返し記述されている現在の中国の実情はまさに断末魔なのだろう、遠からず、おそらくは北京オリンピックの終了直後だろうか、なんらかの答えがでると思う、自身の資産の安全を図りたい方は不即不離の距離へ退避すべきであろう、