料理か混ぜ物か
★★★★★
ケーキを作るのに小麦粉と卵だけでケーキを作ってそこにバニラを入れてしまえば、食品に対して混ぜ物工作をしたことになるのでしょうか。
著者は混ぜ物では無く料理をしていると答えています。
混ぜ物工作とは「人体に良くない物を混ぜる」、「実際とは異なる」物を作るために何かを混ぜる事としています。
まさしく、ミートホープで行っていた行為は、混ぜ物工作にあたります。
何故、人間は食品を素直に作らずに、混ぜ物工作して安価な物を高く売ろうとするのか、どうしたら無くなるのか、歴史をひもときながら解説してくれています。
食べ物は人間の命の元です。
すべての人に混ぜ物工作が無くなることを祈ってお勧めします。
食品偽装の歴史
★★★★☆
食品偽装が昨今取り上げられて問題化しているが、これは今に始まったことではではなく紀元前よりワインの添加物に鉛等が使用された(これは正確には偽装ではなく、当時腐敗しやすかったための処置)ことより始まり現在まで続いている。大きな転換期は1820年代のイギリスから化学の発達等からそれまでの食品偽装についてメスが入れられるようになった。著者がイギリス出身の為内容はイギリス、アメリカが中心で書かれており食品偽装の手口の歴史や経過が書かれている。中国での偽装ミルク事件が最も新しい食品偽装として記載されている。この本は卑劣かつ貪欲な金が儲かるなら他人の健康を損ねてもいっこうに構わない卑しい人間の物語である。この手の問題は「安ければいい」とか「あの会社は安全」とかの先入観を消費者がすて、高くても本当に安心できる食品や本当の食品の味や本物がどうであるかの知識や経験を消費者自らつけることが、食品偽装から防衛すると共に社会からなくす唯一の手段であろう。(本当は自ら食べる物を育て、消費するのが一番安全かつ信頼できることだが現実的に無理な為)
事例調査、経緯説明に脱帽
★★★★☆
昨今の日本の食品偽装との関連性はと思い読んでみたが、良い意味で期待を裏切られた。今のマスコミ受けするような軽い内容ではない。ビクトリア朝以降の英国の食品偽装の歴史とその影響について実に詳細、丁寧、時に異常とも思える細かさで説明している。ここに記された食品偽装の方法もすさまじいものがあるが、それを今ここまで追い続けた執念にも脱帽する。これは評価の分かれるところであろうが、著者の意見、出版目的・主旨について必ずしも明確ではない。事実関係の説明に注力し意図的に判断は読者に委ねているのであろうか。一つお願いがある。すばらしい翻訳であるが、碩学でない読者としては難しい漢字が特に固有名詞に多く、情けないが都度漢和辞典に頼らざるを得ず読書の手を止めた。ルビなど、善処賜ればと思う。