静寂な明るさに満ちた、ノルウェーの夏の一日を思う
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単純な主旋律が一曲ごとに様々に変化していく様は、自然の風景が時とともにその表情を移ろわせるように深遠で豊饒。
ソファに埋もれて聴いていると、いつしか余計な力がスッと抜け、心は静かに落ち着き淡い光に包まれます。
「静寂」と「明るさ」という二つの色合いが、重すぎず軽すぎず、まさしく "floating" というタイトルのごとく絶妙な濃度で漂っています。
ライナーノーツによると、2004年6月23日"Sankthansaften(夏至祭)"のふとした会話がきっかけでこのアルバムを録音することになったとあります。
なるほど、北欧の夏とはこのような「静寂な明るさ」に満ちたものかしら、などと勝手に想像していますがいかがでしょうか。
私にとってビヨルンスタは River に続いてこれがまだ2枚目ですが、どちらもアルバム全体を通じて一つの一貫した味わいを徹底して表現しており、非常に明確なコンセプトを持った強固な意志を携えたアーチストであろうと素人ながらに感じます。
クラシカルで甘めの静音ピアノ・トリオ
★★★★★
Recorded 2005/5,6 at Rainbow Studio, Oslo.
Ketil Bjornstad(p), Palle Danielsson(b), Marilyn Mazur(ds, perc)
ケティル・ビョルンスタが、お馴染みのECMミュージシャンと共に、いつものスタジオで録音し、違うレーベルで出してきた。
しかし、この3人の組み合わせは今までになかった。
雰囲気は名作『エピグラフ』をピアノ・トリオで演っている感じ。曲はすべてビョルンスタのオリジナル。
とりわけ素晴らしいのはパレ・ダニエルソンのベースで、こんなに詩的で静かなソロが取れるのかと驚く。マリリン・マズールは主にパーカッションを使用し、2人をバックアップしている印象だ。
じっと耳を傾けて聴いても良いし、読書のBGMとしても長く聴いていられる一枚。