カノン100% fiore
価格: ¥1,839
癒し効果をもつクラシック音楽の筆頭に挙げられるもの、それは何といっても「パッヘルベルのカノン」であろう。ストレスに苦しむ現代人の心のすきに、これほどフッと入り込んでくる優しい音楽がほかにあるだろうか?
この曲の原題は、ヨハン・パッヘルベル(1653 - 1706)による、「3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ」という。300年も前のドイツの片田舎で生み出されたこの簡潔なメロディ、不思議にポップなセンスがあり、どんなジャンルのアレンジにも合う。原曲独特の清涼感を生かした14種類のアレンジを1枚のアルバムにまとめたのが本作である。1994年に出されてロングラン・ヒットを続けている『カノン100%』の8年ぶりの続編にあたる。ピアノ、ギター、ベース、パーカッション、ア・カペラ、オルガン、箏と尺八、ハンドベルなど、さまざまなアレンジはどれも聴きごたえがある。ただ、いくらアレンジが違うとは言え、14回続けてパッヘルベルのカノンを聴くのは、少々つらい。ジャケットには色とりどりの100%のフレッシュジュースの瓶が並んでいるが、これらを順に一気飲みするのではなく(笑)そのときの気分にあわせて、お気に入りの味のジュースを楽しむのが正解。
発見だったのは、階段をゆっくりと降りてくるような、しみじみ感たっぷりの通奏低音にのって、いつ果てるともなく続くあの優雅な旋律には、実はピアノがとても合うのではないかということ。ジョージ・ウィンストンが1982年にウィンダム・ヒルに録音したアルバム「ディセンバー」から収録されたピアノ変奏ヴァージョンは、雪の降る寒い夜に暖炉を眺めているような気分満点で、今聴いてもまったく古びていない。今回のCDのために録音されたピアノ連弾版も大変美しく平易なので、楽譜があればぜひパーティなどでの実演にもおすすめしたい逸品である。(林田直樹)