見事な叙述トリックに感動!
★★★★★
浅学の身でおこがましいのですが、谷崎潤一郎の有名な作品はほとんど読んだつもりでした。しかし、まだまだ面白い小説が沢山残っているのですね。
この文庫本のタイトルが「犯罪小説集」と、おどろおどろしいタイトルですが、身の毛がよだつようなおぞましさはありませんのでご安心を。
この本には、4編の短編小説が掲載されていますが、なかでも、「途上」「私」という二つの掌編はショートショートの傑作。ミステリー愛好家もきっと満足されることでしょう。
乱歩のような谷崎
★★★★☆
谷崎潤一郎が書いた犯罪に関する小説を集めた作品集です。江戸川乱歩を思わせる、異常心理から生ずる犯罪を中心に据えた作品が多いようです。こんな作品群を彼が書いていたとはまったく知りませんでした。『私』という作品などにはどんでん返しと叙述トリックが用いられており、本格探偵小説と呼んでもいいと思います。
『黒白』は短編にしては長い作品です。ある作家が殺人についての小説を書いた際に知り合いの編集者を被害者のモデルにします。ところが、発表後に彼は実際にその編集者が殺されて、自分に犯人の嫌疑がかかるのではないかという妄想に捕らわれます。ところが途中で主人公が女遊びをする話にかなりの筆が割かれるなど、かなり行き当たりばっかりの印象を受けるのですが、谷崎が楽しみながら書いているのが感じ取れます。
送料無料
★★★★★
送料無料で購入できるので余っているヤフーポイントで購入しました。
複数の作品がこの値段で読めるのはありがたいです。