徹底した物づくりへの姿勢
★★★★☆
美しいテキスタイルで有名なヨーガンレールの新ブランド「ババグーリ」におけるヨーガン・レール氏自身による物づくりに対する思いが美しい写真とともに語られています。
ババグリーとはインドのグラジャード地方で採れる特別な瑪瑙の事でこの自然のもたらした美しさに魅せられた氏が「自然がコレだけ美しいものを用意しているのだから」なるべく不要な物は作りたくないと自然への尊敬の念を込めて、環境を汚さない、土に還る素材で、丁寧な仕事をされた服や暮らしの道具など自分にとって本当に必要不可欠な物だけを作ろうと新たな物づくりに挑戦します。
インドを始め、中国、インドネシア、ボルネオ、日本と世界各地を巡り伝統的な手仕事をする工房を訪ね歩く様子がこれまで物づくりに関わってきた人生を振り返りつつ語られます。
手仕事の良さを生かしつつ無駄を一切省くことによりもの本来の自然にもつ美しさを際立たせるデザインで新たに生み出される作品の数々。
でもさすが長年この仕事にたずさわってきただけあって決して無理を強いるのでなく職人の技術を生かしてできるギリギリのところまで挑戦しようといった感じで好感が持てます。
手織りの布や草木染め、竹細工、かご、木製品一刀彫り、吹きガラスなどなど・・・。
その中には今ではどんどん消えつつある技術も含まれていてそれらの仕事の重要性っていうのをひしひし感じました。
これを読んで東京の清澄白河にあるお店にぜひ行きたくなりました。
この本はヨーガン・レール氏による美しいエッセイ、訪ね歩いた各国の工房で撮られた美しい写真、氏を取り囲むカメラマンやスタイリスト、物づくりにかかわった人々などによる氏の人となりが交互に語られる構成となっています。
その姿勢は一貫してブレがなく徹底しており、ついあっちこっち目を奪われてしまう一般人の私から見ると本当に尊敬に値します。
旅が好きで旅を通して出会う物や自然の中にあるものが好きで物づくりに興味のある人におすすめの一冊です。