構造主義が解りやすい。
★★★★★
難解な哲学書の多い中でイラストなども有効に活用して読みやすく書かれた本である。
構造主義とは?、と興味を持った私のような初心者にも理解しやすく、構造主義入門書としては良くできた本だと思う。
興味があった、”レヴィ・ストロース”などの思想も解りやすく解説してあり、構造主義の何たるかが多少理解できたかな?
ここから構造主義に入れます
★★★★★
人間、社会、歴史、歴史の進歩、言語、マルクス主義これらの概念を図解するのは難しいと思われますが、この本では構造主義を説明するための諸概念の関係を非常にうまく図を使い位置づけています。決して構造主義自体を図解していないものの相互の関係を目に見える形で示すことによって理解させてくれます。この意味においてこの本は構造主義のまたとない解説本となっています。全くの構造主義素人の私にも構造主義が何を問題にしてきたかが理解できたような気がしました。
読んでよかった
★★★★★
人間中心主義と歴史の進歩を唱えた思想(カント〜サルトル)から、それらに対する批判として生まれた構造主義。そして、構造というものに対する固定化した見方を批判したポスト構造主義という風に、おおまかな流れがよく理解できる。
文化学、人類学、数学、言語学など様々な分野の思想家が紹介され、科学や神学との関連も語られているが、「人間中心主義と歴史の進歩をどう考えるか」という軸となる問題意識が全体を通してブレていないのが秀逸。
ポスト構造主義に重点が置かれている印象
★★★☆☆
図解がある構成は初心者にも大変分かりやすい。「構造主義」を実存主義・マルクス主義・ドイツ観念論などとの関係で述べている。
しかし最終的に、著者は『ポスト構造主義』を述べたいのではという印象が残る。言い方は良くないが、構造主義をだしにして”人間中心主義”の復活を説いているように思う。
私はそういった思想を必ずしも悪いとは思わないが、『構造主義』という題名の本には適切ではないと思う。ポスト構造主義を述べるのあれば、構造主義と人間中心主義の二者択一の選択ではなく、両者を『綜合』するといった図式で語られるべきではないか。
いいです
★★★★★
人間の理性と歴史の発展という二つの理念を標榜していた西洋近代を批判したという構造主義の重要な役割を筋道だって解説することに集中しているから、構造主義の魅力が学べる。ポスト構造主義以前の所まではとてもよくできていると思う。人間の理性とか歴史の発展はなんだかんだ言っても未だに多くの人に受け入れられていると思う(特に古典派マルクス主義信望者や進歩的知識人たち)。ということで構造主義の重要性は未だに大きいと思われる。本書のポスト構造主義のところは、簡潔過ぎているかもしれない。私はポスト構造主義についてもまったくの素人だから、なんとも言えないが、本書のポスト構造主義の記述には構造からの脱却という自由を得るためになくてはならない理論だといっているように見えた。そこからリベラル派との親和性が生まれているのだと思う。確かにデリダの脱構築やリオタールの大きな物語に対する批判など学問としては興味深いものがあるし、重要な概念であることには変わりない。さらに少数民族の文化復興運動などにも大きく貢献していると思う。しかし中心の不在として多様な価値観を際限なく認めてしまった場合に、果たして他者との円滑な関係を維持できるのかははなはだ疑問であるように思われる。またそもそも構造からの脱却ということ、すなわち人間は自由でなければならないという概念こそが西洋近代に構築された概念で脱構築されるべきなものなのではないかと、下衆の勘ぐりをしてしまった。ということで、ポスト構造主義の部分は少し理解に苦しむし他の本を読まないといけないかも知れないが、それでもこの本はよくできていると思う。