論拠が不明確
★★☆☆☆
部屋の広さやスピーカーユニットの大きさで分類してスピーカシステムのセッティングについてあれこれと示しているのが本書の大半である。
壁やスピーカー、聴取者の位置関係を割り出すのに様々な式を用いており計算過程は結構書いてある。しかしながらその根拠が明示されていない。つまりこの本が著者自身の持論を開示したものなのか巻末に数多く挙げられている参考図書の総説であるのか立場が明らかではない。この本を手に取る人の大半はスピーカーのセッティングに王道、黄金率が存在しないことは承知しているだろう。それだけに本のポリシーを明確にしておくことは重要であると思うが残念である。
セッティングの説明に図が多く使われているのであるが呆れるほど間違いが多い。数値が本文と矛盾していたり単位が明らかにおかしい箇所も数多くある。小数点としてコンマとピリオドが混在している。さらに言うと図が現物の縮図になっていない、つまり長さの比率と角度が現物と異なっていて直感的な理解を妨げている。
間違いないようにしようとか読者に解り易くしようとする配慮が著しく欠けている。著者だけでなく編集者の責任も大きいと思う。
内容どうこうの以前に引っ掛かるところが多過ぎる。
内容においてはこの本の第一巻を大きく越えるものではない。筆者の思想には傾聴すべきことも多いが第一巻を読めば十分だと思う。