リンカーンを知る入門書として
★★★★★
リンカーンと言えばアメリカの黒人奴隷制度の廃止に生涯を捧げた人物である.当時のアメリカ社会には奴隷制度が深く浸透しており(特に南部),アフリカから"売り物"として連れてこられた奴隷たちが人間ではなく家畜のように扱われていた.若いときに奴隷制度の実態を目の当たりにしてショックを受けたリンカーンは奴隷制度廃止のために奮闘する.
本書ではリンカーンの生い立ちから奴隷制度に取り組むまでの歴史・リンカーンの人柄・強い正義感・幾度の困難に見舞われても決してあきらめなかった姿勢などがしっかりと描写されていて(著者があとがきで述べているが,本書が少年少女向けであるが故に省かざるを得ない部分があったようだが),伝記としての役目をきちんと果たしているように思う.
本書から学ぶことは多く,大人の自分が読んでも十分楽しめた.
子供向けながら、大人でも楽しめます
★★★☆☆
子供向けに書かれた伝記です。しかし、若い日(若干の想像有り)から亡くなる時までを
しっかり書いてあります。子供も読むので、漢字には振り仮名が振ってあり、最初はとても
読みにくい印象を受けるかもしれません。
また、32歳の時にかかった精神衰弱(症状から見てうつ病かもしれません)の描写や恋愛
についての記述は若干少なかった気がしました。
しかし、彼の不撓不屈ぶりと、彼のアクションが目先において失敗している時に、思わぬ
波及を起こしていた事を教えてくれます。
私が一番感動したのは、リンカーンの温情によって死刑を免れた若い兵士の最期の件でした。
自分を知る者の為に死ぬ、という言葉があります。意味が良くわかりました。
大人ですが、感動してしまいました
★★★★★
子ども向けで、しかもめちゃ古い(1967年初版)本であるにもかかわらず、心底感動してしまいました。
なぜ、リンカーンがあれほど米国民に尊敬されているのか、極めてよくわかりました。
リンカーンが政治家として活躍したのは、実質僅かに10年。
奴隷制度をめぐる南北の対立が抜き差しならなくなり米国分裂危機が深まったとき、彗星のように現れて、1860年に大統領に選ばれる。その僅か2年前にはイリノイ州の上院議員選に落選しているという一点だけを見ても、どれほど全国的に無名の人物であったかがわかります。そして同朋相戦う苦衷に満ちた南北戦争の艱難を指導し、その戦争の終結を見たとたん、暗殺されてしまいます。南軍が降伏した僅か5日後。
「天がこの国の歴史の混乱を収拾するためにこの若者を地上にくだし、その使命がおわったとき惜しげもなく天へ召しかえした」(「龍馬がゆく」司馬遼太郎)
キリスト教徒であるアメリカ人であれば、リンカーンという大統領の存在そのものを「神のみわざ」「奇跡そのもの」と感じるのでしょう。「歴史の不思議」を感じさせてくれる本です。
リンカーン夫人との葛藤の話などもあり、むしろ大人が読むべき本なのかもしれません。
最も賞賛されうるアメリカ大統領の伝記
★★★☆☆
序章のほうにもありますが、文体がやはり少し古いです。対象年齢も低く設定されています。わかりやすいです。しかし、一般向けではないので、大まかな内容が知りたい、という人には向いているかもしれません。