ベルイマン無責任を描くの巻
★★★☆☆
ベルイマンということでちょっと他の作品と比べると辛め。
個人的に題材が好きくないのでこの☆の数。観察眼はやっぱりベルイマンだと思う作品です。
自分の言葉に責任を持てず、政治、思想、生き方としての無知、無責任さの惨めさ、悲しさ描いている作品。
それは、オールのないボートの上に主人公夫婦2人残され、
「ああ、私たちはどこにいくのだろう」と締めくくっている言葉からも明らかではなかろうか。
外からの圧迫に従い、でも生きたい…けど世の中を知るのは怖いし…。
自分でハンドルをけして握らず、他人にハンドルを握らせ、事故ればそれは自分のせいではないっていう無責任さ。
ああ、無知のなんたる愚かさよ…!って言葉が最後頭に浮かびました。
そんな理由で一見の価値はあるけど、なんども見たい映画ではない。
一回見て、ギクッとしたら…「あなたは現実をしっかり生きてる?」という作品のテーゼが心に響いたのだと思う。
ラスト・タンゴからファンになったのですが、この映画はすざましくいい。
★★★★★
映画監督をめざしている方はとくに観た方がいい映画です。けっして制作費はたくさんかけてないけれど、見ごたえがある。30代過ぎになってみると味わい深い「愛のゆくえ」にドキっとします。
監督インタビューもかなーり いいです。DVDはそのオマケ得点映像なんかが また楽しめますね。
戦争の不条理さを迫力ある映像で表現した映画です。
★★★★★
元バイオリニストの夫婦が、戦争に翻弄されるうちに
気がつけば人格そのものが変わってしまう・・
そんな風に書くと、いわゆる普通の戦争映画に思われてしまうだろうけど。
階段で涙を流すほど気弱だった夫のヤーンが、戦車の爆撃や軍からの尋問を受けるたびに
徐々に人格が変貌する様は、不気味なほどリアリティがあります。
モノクロ映像ながらも、迫力のある爆撃シーンの数々は必見。
極限にまで追い込まれた人間が、そして普通に暮らす人々が、戦争でどう変化するのか?
緊張感のある映像を通して戦争の不条理さを追及し、世間に説いたこの映画は
現代でもまったく色あせていないと思います。
DVDの発売が、本当に楽しみです。
ベルイマン監督って、20世紀を代表する偉大な監督と言われているけど
まだまだ知名度が今ひとつなのが、とても残念。
ぜひ、多くの人たちに見てもらいたいです。
20世紀を代表する巨匠の問題作
★★★★☆
ベルイマンと聞いても、ピンと来る人は少ないと思いますが、
日本で言う黒澤明みたいな巨匠映画監督です。
『処女の泉』とか『沈黙』が有名ですけど、
この『恥』も戦争の真実に肉薄した意欲作。
BOXでしか発売されていませんでしたが、単品で出るんですね。
知る人ぞ知る映画だからちょっと驚きました。
ごく普通の人が戦争に巻き込まれ、
次第に人を殺すことのできる人間に変わり果てていく様子がすごくリアルで、
この映画ほど戦争の恐怖、狂気を感じた映画はありません。
一人でも多くこの映画を見て、
善良な人間の人格を粉々に破壊してしまう戦争の恐ろしさを実感してほしいです。