デイヴィドソン・プログラムの日本語での実践
★★★★★
デイヴィドソン・プログラムに基づいて
自然言語としての日本語について意味論を展開した労作。
勿論、著者も断っているように日本語のごく一部について
の考察にすぎません。
文の意味=真理条件説の最初の難関である文脈依存性や
時制・出来事という考えかたを、日本語の意味論を実際に
構築してみせるなかで織り込んでみせた手腕はさすがと
しかいいようがありません。
そのうえで、意味論に求められる境界を明示し、意味論
以前(平叙文化)、意味論以後(含み)との関係をモデル
として提示してみせています。これはもはや入門書のレベ
ルを超えているのでは?
文の意味を真理条件に限定し、それ以外を意味論の領域外
とする見方に批判はありうるでしょうが、実践を通した
ヂヴィドソン・プログラムの説明としては最高の「例示」
であると評価できると思います。