意味論にくらべれば
★★★★★
池上の意味論に比べれば、はるかに読みやすい。
等価項の反復が、美的であるのか、詩的であるのか、音楽的であるのか、
よく見えない。
新書だからしかたがないかもしれないが、参考文献が最後にないのはつらい。
高校生のうちに読みたい本
★★★★☆
内容としては大学1年生くらいでしょうが、高校生でも読める内容です。というよりも、本来ならこのくらいの事は知った上で大学に入学すべき(というよりしたかった)です。
記号論の考え方は受験でも使えるし、この本自体が現代文の設問に使われても不思議ではありません。下手な方法論ばかり紹介する参考書を読むくらいなら、こういう本で受験勉強して欲しいです。
もちろん、受験という視点を除いても、考え方を深める為の良い本です。
記号=文化ということか
★★★☆☆
何が書かれているかは全く予測せずに,タイトルだけ見て読み始めましたが,とても難しい本でした.「記号」というとマークのような図形のことかと思っていましたが,本書で言っている記号というのは,「物」や「意味」を表すこと一般を言っており,「言語」などがその最たる例として述べられています.
「物」を認識するだけでなくそれを表す別のものを用意したり,「意味」を求めたりという行為は人間だけにあるもので,結局,言語や図形を含めて,物事を表そうとする行為,すなわち記号というものは人間の文化そのものと言えるのではないでしょうか.
記号論ってなんだろう?
★★★★★
記号論と聞いても全くわからない人も多いだろう。
一般の人はまず読まないような名前だが、それはもったいない。
記号論とは文字や物体、想像物というあらゆるものを記号として考えることである。
例えば
なぜ本を見てこれが本だとわかるのか?
本と似ていてもノートとは間違えない。なぜか?
本とノートの記号的境界線は?
などの基本的なことから、
高価なものでもつまらないものというが本当につまらないものとは意味をとらない。
辞書的にはおかしいのに意図したことがちゃんと伝わる。なぜか?
他には
「とら」という言葉は虎を意味するが、その構成要素は「ト」と「ラ」である。
そこに意味はない。このような言語の記号的仕組みとは?
そしてそれが節や文といったかたまりの記号となった場合の言葉の構造は?
詩とは言葉の普遍性を打破するものである。
など非常に様々な疑問を丁寧に解説してくれている。
これは私たちに常に身近にあることなのに理解できてないという大変興味深い内容である。
惜しむらくはこの本かなり古い。
お目にかかることなく埋没してしまう良書だ。
非常にもったいない。
はじめての記号論入門として最適の良心的な一冊
★★★★★
記号論の大家ウンベルト・エーコの著作の訳出もある池上博士の新書版記号論入門。「記号論」という看板をみて一般庶民が首をかしげるこの不思議な学問が分かりやすく解説されている。記号論というのは「言語」を日常に使用されている言葉からさらに機能を深く追求し、拡張することからはじまる。そうなると「言語」は口から発したり、文字で書かれたりする文に留まらず、映画・アニメなどの映像、街の構造、建築物、政治制度、果ては人間が見る夢にまで拡張される。そういう意味で人間の文化は拡張された「言語」である「記号」から成り立っているのであり、それを分析する学問が記号論であると言える。本書は記号論の基本的概念、様々な「記号」にアプローチする方法が系統的に説明され、はじめて記号論!に触れる人に最適な一冊だと思われる。本書を読了してこの分野に魅力を感じたらウンベルト・エーコの本に挑戦してもよい(ただし、こちらはかなり難しい)。