何度も読み返したい傑作選。
★★★★★
芥川龍之介の最も良く知られている傑作が一度に読める文庫本です。「藪の中」「羅生門」「地獄変」「蜘蛛の糸」「杜子春」「鼻」。これらの作品を読み直してみて、齢を重ねたことをむしろ感謝できます。以前、子供のころ読んだ記憶とは、全く趣が異なって感じられました。凄いです。短編集ですが、その短さにも改めて驚かされました。しっかりと記憶に残っているのですが、電車で通勤している間に、一作品一作品読み終えることができる分量しかありません。それほどの短さなのに、切れ味と言いますか、語り口の凄味と言いますか、周りに人がいるのを忘れるほどに入り込んでしまいます。多くの作家が筆写をしたというのも頷けます。あと、生きているうちに何度読み返せるだろうか、といった心境になりました。