音大、音大生、プロの演奏家に興味のある方に
★★★★☆
本書は吹奏楽専門誌「バンドジャーナル」での連載を編集したものです。
よって、主に管・打楽器の話になります。
ピアノ、弦楽器、声楽、作曲などはまた違ってくるんでしょうね。
音大受験準備から、音大低学年、音大高学年、卒業後と順を追って、1%にも満たないというプロ演奏家になれる可能性を少しでも高める方法を、筆者の体験を踏まえ、時に厳しい言葉も交えながら解説しています。
蛍雪時代に書かれているようなきれいごとだけではない、音楽学生の姿が見えてきます。
ドロップアウトすることは決して恥ずかしいことではなく、この世界ではむしろ当たり前で、普通の大学に進んでアマチュアのオケや吹奏楽で趣味として音楽を楽しむ、あるいは音大から一般の仕事に就職する道もあることを示しているのが筆者の優しさでしょうか。
音大に興味を持っている吹奏楽大好き中高生や、その親御さんは一度読んでみるとよいと思います。
「塾」といいながらも、受験雑誌のように客観的資料が並べてあるわけでもなく、筆者の個人的経験、感覚に基づき書かれているので、内容はほぼエッセーであり、筆者のいつもの軽妙な語り口も健在です。
音大生、プロ演奏家の内情をちょっと覗いてみたいという方にも面白いと思います。