運命の美しさ 〜最終章より〜
★★★★☆
N響首席オーボエ奏者による1980年代のドイツでの留学&オーディション挑戦時代のユーモア有り・感動有り・さげ(落ち)有りの楽しく時にほろりとくる読みやすいエッセイ。
様々な音楽家やバッハとの出会いから奏者として人間として成長される茂木さんの姿も強く印象に残りますが、最終章の次の言葉に最も感動しました。
「最も偉大な作曲家バッハとの出会いの瞬間。それがいみじくも自分の生涯の師匠であり、最も敬愛するギュンター・パッシンの音にもたらされた運命の美しさに、俺は感動するのである」
ドイツでの生活
★★★★☆
『オーケストラは素敵だ−オーボエ吹きの楽隊帖』(音楽之友社,1993年)、『続・オーケストラは素敵だ−オーボエ吹きの修行帖』』(音楽之友社,1995年)の2冊の単行本を再構成して文庫化したもの。
著者はNHK交響楽団のオーボエの人。軽妙で面白い語り口を生かして、多数のエッセイも執筆している。
本書は、ドイツへの留学時代、楽団に入るためオーディションを受け続けていた頃、シュツットガルト響時代の話を語ったもの。それ自体がテーマとして興味深い。青年の成長物語になっているし、合格か不合格かというわくわく感もある。さらに著者の語りが面白い。自分を戯画化しているところなんて、抱腹絶倒ものだ。
音楽の分からない人でも楽しめる。
痛快で啓示に満ちあふれています。爆笑の本でもある。
★★★★★
プロが一流から超一流になる過程など、普通人である私にはなかなか想像でき
ない。特にクラシックの音楽家が一流になり、首席奏者になる舞台裏などなか
なかわかるものではない。しかし興味は尽きないのである。この茂木大輔の
著書は、彼がドイツに留学してから、N響の首席オーボエ奏者になる、成り
得た過程が実に面白く述べられている。文章が上手い。ユーモア感覚も抜群で
あり、何度爆笑させられたことか・・・。本質的な音楽への意識の変化も実に
丹念に語られる。演奏技術の向上についても、かなり客観的に理解できる。
一流のその先にあるものへの気づきと、それを乗り越えていく具体的な過程が
面白い。普通にクラシックが好きなだけの私にも、数多くの啓示が込められて
いた。この本とその著者はただものではない。痛快な書物です。ホンモノの本。
お薦めです。
音楽家の裏話
★★★★★
本から音は流れてこないので、音楽家の正面の話ではない。
オーディションに受かった話、落ちた話などの音楽家の裏の話だ。
音楽好きの方用の、音楽ネタも満載です。
文庫本の後書きには、タモリの話もある。
南伸坊の挿絵もよい。
ノダメカンタービレの二ノ宮知子の帯もよい。
おまけに筒井康隆が解説を書いている。
一流オケのオーディションの様子が生き生きと描かれていて面白かったです
★★★★★
クラッシック界の内情暴露ものかなと思っていたら全然ちがっていて
すばらしく良かったです。
前半は小澤征爾さんの「ボクの音楽武者修行」を思わせるような
海外の一流オーケストラのオーディションの様子が描かれていて
とても面白かったです。
ひとつ苦言を呈すると「バイエルン放送響」のオーディションに最後に落ちた
のは文中にあるように「言動に問題があった」のが原因ではなく「実力不足」
だったんでは?と感じました(音楽の事はよくわかりませんが一般的な社会経験
で状況を判断させていただくとそんな感じです)