貧困に覆われた社会は監獄であった
★★★★☆
『蟹工船』など、すべてのプロレタリア文学に影響を与えた『どん底』
19世紀、皇帝ロマノフ2世が統治する帝政ロシアは全土が貧困に覆われていた。
貧困は人間同士が哀れみ会う、疑心暗鬼の世界を生む。
ゴーリキーは「人間同士は尊敬しあう存在であるべきだ」と訴える。
しかし、現実は違う。
貧困の封建社会は監獄同様だった。
ゴーリキーは登場人物たちに歌わせる。
♪日が上ろうと沈もうと牢屋は暗い
昼でも夜でも見張られて 逃げはしたいが鎖が切れない
ああ この鎖 おいらにゃ切れない
鉄の鎖は断ち切れない
明るく歌えば歌うほど募る苦しみ。
マルクスの誤った運用は、この貧困を救わなかった。
絵が良い。
★★★★★
「蟹工船」がブームになったくらいだから、もっと暗い「どん底」もありかも。
完読さん、選択が渋いです。
登場人物の名前で半挫折しそうになるロシア文学。
マンガでビジュアルとして通読してから原作を読めるのは非常にありがたい。
労働者が集団で住む部屋のじめっとした澱んだ空気など、よく描かれているなと感心した。
「読破」シリーズより「完読」シリーズの方が、原作のイメージを損なわない絵であるのが良い。
内容を知っておきたいなら、原作本よりむしろこっち
★★☆☆☆
原作が戯曲なので、小説よりも漫画化には適してるのではないだろうか。舞台を見るのでなければ、原作本よりむしろこっちのほうがいいかもしれない。基本的にひと部屋でたくさんの貧乏人がごちゃごちゃやってるだけなので、文章だと人物相関を把握しづらい。
ただし、この漫画は面白くはない。それを期待してはいけない。原因は原作自体がたいしたことないせいだ。終始訳知り顔のルカーの存在がなければ、もう少しマシになったと思うが。。。しょせん、ゴーリキーは(名前は似てる)ゴーゴリより何ランクも下の作家である。
二番煎じであるが、なかなかよい
★★★★★
この本は、まんがで読破の二番煎じの感が否めない。
しかし、内容は非常におもしろい。
まさに現代に通じるものがある。
人間交差点タッチの描き方で私は個人的に好きである。
これからもこのシリーズをどんどん出していってほしい。