繋がるか? 消え去るか?
★☆☆☆☆
必要なのは、素直、柔軟、拡張性。
社内で抱える垂直統合の崩壊にあたり、
外部との協創関係を築く必要性を語る。
実例を解説しているが、とにかく文章が長い。
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箱からドアへ
捨てちゃいけないプライドと、
捨ててもよいプライドを吟味することによって道が開ける。
買ってしまったが・・
★☆☆☆☆
某ブログの強力プッシュで、これだけ薦めるのだからどれだけ面白いのかと買って読んでみましたが、案の定、大失敗です。都合の良い成功例、美談の寄せ集めばかりで、曖昧・抽象のWeb2.0本の類の中でも最もたちの悪い部類に入るかもしれません。
マスコラボレーションの時代の行方
★★★★☆
「大企業であれ、小企業であれ、社内の能力と小規模なビジネスウェブ・パートナーシップだけでは、もう、成長と革新に対する市場の要求に応えることは不可能になった」。
ネットワークを経由して幅広い世界の人材が対等にコミュニケーションを取り、アイディアを交換し、開発し、生産し、成長し、革新をおこしてゆく。本書は、そのような潮流や事例や背景を詳細に追い、さらにそれが社会や企業にもたらすものについて考察する。
この著者達によると、ウィキノミクスの4大原則は、
・オープン性
・ピアリング
・共有
・グローバルな行動
になる。これは最初から最後まで何度か出てきて強調されている。LinuxやWikipediaなどが既に世界に広く浸透して久しいが、本書は特に企業のビジネスにおいても、このようなマスコラボレーションが有効だと述べているところが特に印象的だ。
もっとも、本書でもマスコラボレーション型の問題点についてはそれとなくいくつか触れてはいるものの、全体的にちょっと美化しすぎ、という気もしないではない。先日、Linuxの開発者のリーナス・トーバルズが8年ぶりに来日した。その際のインタビューの中で彼は、Linuxのような開発手法は生物の進化のプロセスに似ていてゴールが決まっていないものに対しては最も有効だが、あらかじめゴールがあるものについては他の方法の方が適切かもしれないと述べている。つまり、本章は、マスコラボレーションも万能ではなく、それが向いている分野とそうでない分野の色分け、長所と欠点をもう少しはっきり示す余地があると思われる。実際、本書で絶賛されているB787の開発は、確かに新しい試みではあるものの、既に遅れに遅れている。そして、ボーイング社はその理由として、主要パートナーの製品も含めて品質が劣るものがあったことを理由に挙げ、挙句の果てに責任者の副社長は更迭されてしまった。
ということで、本書はマスコラボレーションへの理解のために非常に重要な一冊ではあるけれども、この分野のより適切な評価のためには、世界はもう少し時間が必要なのかもしれない、とも思った。
現状肯定的
★★★★☆
オープンソースなどマスコラボレーションによる開発が今後ますます盛んになり、それに乗り遅れた企業は衰退していくっていう話。
たしかに、言ってることはよくわかるし、ここに例示されている企業がマスコラボレーションにより成功してきたのも確かだ。
でも著者の言うことは、現状肯定的な話が多くて、あまり、問題点の指摘とかがない。本当に、いいことばかりなのかなぁ。
クラウドソーシングによるナレッジ活用のパラダイムシフト
★★★★★
ウェブ2.0系の本や、「集合知」系の本で書かれているようなことを、企業の生産活動に焦点を当てて統合し、経済活動のパラダイム転換と新時代の到来を確信させた。今世紀初頭で最も重要な本の一つになるのではないか。。
21世紀型のウェブが企業や消費者の知的生産活動に及ぼしている影響を、多くのケースを交えて詳述している。
なんと言ってもウィキと経済学をくっつけた本書のタイトル・ネーミングがナイス!この一言は、本のタイトルを超えて、21世紀のウェブ新時代の生産活動のあり方を物語っていると思う。
「オープン性」「ピアリング」「共有」「グローバルな行動」という4原理をウィキノミクスの特性としているが、おそらくはこの経済原理の本質は、取引コストと競争優位の問題に帰せられると思う。
コースやウィリアムソンは、企業がある生産活動を行う際に、外部の生産者の中で最も安い業者を探してそこに委託するのと、自社内部に生産部門を持ってそこで生産するのと、どちらが特かということを考えた。これに関して本書でも触れている。「取引費用は今も存在するが、市場よりも社内のほうが重荷になることが増えた」。例えば、ボーイングは航空機の製造に当たっては世界各地の重工メーカーに生産委託しているが、以前はボーイングがマスター設計をして、その部品を各下請け(日本では、三菱・富士・川崎の重工3社)が生産するカタチを取っていたが、今は各社が設計に積極的に関与して、部品レベルの設計から全体設計に影響を及ぼすようになった。それは、リナックスのプログラミングと同様の仕組みが物理的商品の生産設計でも起こっているということを意味する。そのための外部への情報開示も重要なファクターとなる。これまで企業各社は企業秘密といって社内情報を外部に漏らすことをためらってきた。しかし、外部に漏らして外部の人間にやってもらったほうが、内部で完結させるよりも効率的かつ高度なものができることが明らかになってきた。これは『「みんなの意見」は案外正しい』(J.スロウィツキー)と同じ現象だろう。
個人的には取引のプレーヤーが増えたことも見逃せない。従来の生産活動は、企業と取引業者によって製品は設計され生産された。現在は、すでにプロシューマー(「producer=生産者」+「consumer=消費者」)という言葉は聞き慣れて久しいが、企業とその取引企業ではない外部の第三者=消費者が生産過程に参加する社会になったということ(それにはその参加コストの低減やインフラが整備されたことが大きい)もウィキノミクス社会の大きな特徴と言えよう。