普段レビューは書かないのですが一言だけ。

蜜の夜明けは、歌詞の１番もなかなかですが２番も素晴らしい出来。
で、わたしが一番びっくりしたのが、歌手のいいところを引き出し
弱いところを補って曲全体の魅力を高めた編曲者の腕前でした。
すごくうまくシンクロさせています。

オリジナルアルバム『ソラノスフィア』の深い感慨も醒めやらぬ、
新居昭乃、待望のマキシ楽曲は『狼と香辛料-2』OPテーマ曲。
空と大地、その両極の実り。そんなリンクさえ感じてしまう、
このアルバムからの音楽展開だが、それも新居昭乃songならば、
ある意味いたしかたないこと。それが本編内容としっくりマッチし、
双方の相乗効果で静かに味わい深い世界を紡ぎだしている。

その自然との大いなる契約は、天地（あめつち）の循環の
約束のリングをその指にはめること。愛しい二人が往く旅は、
永遠にも似たすべてのものを繋ぐ旅。そんなドラマを孕む
蜜のような夜明けが促す何気ない目覚めのワンシーン。
ああ、だからこそこんなに夜明けは美しいんだ、そう
静かに思える密かな奇跡。―鳥も獣も、そして人間も...
この地上に咲いた、そんないと美しき愛すべきものたちの饗宴。

c/w「Ekleipsis」も、ソラノスフィアからの繋がりを感じる静けさが
印象的。今夏の皆既日食の記憶も新しい。それは新居昭乃
独特の囁きの呼吸が紡ぐ宇宙（そら）からの手紙。どことなく
淋しげな哀しげな、けれど確かに感じる、ささやかな鼓動が愛しい。
続く同アルバムからの3曲目「monday,Tuesday」が描くのは、
日常の向こう側に確かに隠れている天地の奇跡... またしても
アルバムを聴き込みたい衝動に駆られ、何気にトラックを切り替える。

囁くような綺麗な歌声で、旅、夜明けを物語っています。
静かな場所でそっと聴きたい曲ですね。
この1曲だけで、二人の旅の物語、世界観を強く感じる事ができます。

イントロから歌い出しまで、非常にゆっくり囁くような声で。
サビに入ると、少し勢いのついた、しかし世界観を壊すことない独自の音楽が素敵です。
歌詞に「過ちでも選んだ道を行くよ」とありますが、ここの部分だけで私は鳥肌が立ってしまいました。
たとえ選んだ道が間違っていようと、二人でならば何処へでも行ける――と強く感じました。
最後、サビの部分では思わず涙がこぼれそうになるほど、感動しました。
5分とない曲なのに、ここまで物語の中に吸い込まれていくとは、驚きです。

TVアニメ「狼と香辛料U」のOP主題歌でもあるこの曲は、アニメの雰囲気にもピッタリ。
この作品が好きな人にも、この曲には文句は無いでしょう。

是非、この素敵な二人旅の物語を、じっくりと味わって欲しいと思います。