『記号の知/メディアの知』(石田英敬著・東京大学出版会)を読む
★★★★☆
「セミオ・リテラシー(意味批判力)」の必要性を説くことが本書の眼目だ。
意味とは何か?どのようなメカニズムがそこで働き、どのような効果を生むのか?それを考える力を手に入れること。社会や制度や技術が私たちに押しつけてくる「意味」から距離をとり、相対化し、自由になる。自ら意味を作り出す創造的契機を見出す。そのためのリテラシーをレッスンする本なのだ。
テレビを見、新聞を読み、インターネットを使い、携帯で声・文字・画像をやりとりする。そんな私たちの日常を全面的に包囲し、拡大し続ける「意味環境」に対応し切れるだけのリテラシーを私たちは、まだ持ち合わせてはいない。そのための新たなリベラル・アーツとして、多くの示唆に富んでいる。
写真・絵画・図を使って、具体的に、分かりやすく書かれていて、面白く、楽しい。
意味を読み解く力の必要性に気付かねばなるまい。