スタフォード最強の一著がついに日本語に!
★★★★★
ついに出た。
『グッド・ルッキング』の書評を書いてから一年半。高山宏氏渾身の訳業である。
翻訳にまつわる苦心については「訳者あとがき」に縷説(るせつ)されているけれども、一日に五分、十分、十五分という訳し方らしくて、それもそうだろうと思う。
内容については原書の書評で述べたので繰り返さないが、これで「スタフォード学」がひとまずの完成を見る。
『アートフル・サイエンス』『グッド・ルッキング』『ヴィジュアル・アナロジー』と揃ったところに、大作『ボディ・クリティシズム』が出るという具合で、これに来年(今年?)出るという予定の『本質への旅』が加われば、まず最強のラインナップとなるはず。
いつも言うことだが、スタフォード氏の言う「イメージの持つ『分かる』力」、そして何よりも氏の「明るさ」、これこそが今まさに必要なものだと思う。
この人は決して安易なネガティヴ発言をしない。今の時代、ネガティヴになろうと思えば材料はいくらでもある。それを見据えた上で、「つなげる知性」を「イメージング」によって見出していこうというその肯定的な姿勢に、感動をおぼえる。
値段的にも大変な書物だが、立ち読みでもなんでもいいので、ぜひ一度、手に取っていただきたい。傑作である。