プロジェクト(マネジメント)で苦労したことのある人にはおススメの専門書
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●PMO導入フレームワークと銘打っているが、PMO自体が「プロジェクトを適切にマネジメントするための仕組み」であることからも、本書はプロジェクトマネジメントで苦労したことのある人なら一読の価値はあると思う
●かく言う私もプロジェクトマネジャーとして多くの苦労を重ねてきているので、著者の現場を経験しているからこそ分かる主張や課題認識(例えばPMOが管理屋になってしまわないか?など)にいちいち共感することができた
●ただし、内容が専門的なのでプロジェクト(マネジメント)を経験していないと、なかなか心に響かないかもしれない。逆に言うと大変な思いをした人には良く響く(私は心に響いた^^)。経験者向けの本である
●ちなみに内容は、1章2章3章でPMOフレームワークの骨格部分が丁寧に記載されている。参謀型PMO/管理実行型PMO/事務局型PMOの分類は分かりやすい
●また全社的PMOと個別PMOもきちんと整理されて記載されており参考になった。ほかの書籍や巷の情報ではこのあたりの整理が不十分で消化不良を起こすようなことがあったが本書ではクリアになった
●4章ではケースに基づく判断や対処が記載されている。「状況と課題」「解決策と効果」のページが別々になっているため、演習のように読み進めることができた。実際に直にプロジェクトに役立てることのできる内容のものもある
●5章6章はかなり薄め。なくてもいいかも。ツールの紹介とPMO成熟度。PMO成熟度に関しては、もっといろいろと整理できそうなのだが、ちょっと雑な印象を受けた
●とはいえ、4章までの部分で十分参考になる書籍であった
これからPMOを導入しようとしている人だけでなく、PMOで苦労している人にもおすすめ
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最近のプロジェクトではPMOを置くことが多いと思うけど、ご多分にもれず、うちも見よう見まねで全社的なPMOを置き、プロジェクト管理支援を行って来た。自分もその一員なんだけど、当初の目的を達成できず、どうも空回りしてるなぁって感じていたが、そんな時に出会ったのがこの本。
題名どおり、導入のための本だけど、むしろ、PMOとして、苦労している人が読むと、なるほどなぁって肯くことができると思う。PMOの改善にも役に立つと思う。
内容としては、
まずは、PMOというものを四つのフレームワークで分析している。
その四つとは、人・組織・プロセス・ツールだ。
まず、組織においては、PMOを機能で分類し、参謀型PMO、管理実行型PMO、事務局型PMOとして、それぞれの役割を説明している。さらには型式として、全社的PMO、個別プロジェクトにおけるPMOに分けている。
この整理がよくできている。もちろん、実際のPMOは、どれか一つに当てはまるわけではなく、それぞれの機能を合わせ持つことになると思うが、PMOのタスクを検討する際にとても参考になるとおもう。
次の人においては、PMOのスキルマップとして、プロジェクトマネジメントコンサルタント、プロジェクトマネジメントコントローラー、プロジェクトマネジメントアドミニストレーターの三つに分け、それぞれに必要なスキルを説明している。これも実際のPMOが一つにしか当てはまらないというのではなく、それぞれの要素がプロジェクトごとに要求されると考えたほうがよく、プロジェクトに合わせた人の配置の参考になる。
プロセスにおいては、PMBOKの知識エリア別に、24の事例を挙げて対応策の例を提示している。よくある事例で、自分も悩まされたことが多く、なるほどなって思った。
とにかく、実践的な本だ。PMBOKという知識体系の理解もプロジェクトマネジメントには必要だが、実際はそれだけでは足りないのが実感としてある。それを補うものとして、読むべき本だろう。
PMO組織設計の実践的ガイドブック
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PMOは設置してみたものの,現場にとって負担ばかりが大きくなり役に立たない,という声はよく聞かれます。
本書は「組織」「人」「プロセス」「ツール」というPMOフレームワークをベースに,”役割”,”機能”,”型式”という切り口でPMOのあり方を説明してくれているので,現場におけるPMO組織設計に大変参考になります。
また「人」についてはPMOのキャリアパスの設計に,「プロセス」ではケーススタディとして実際のPMO運用マニュアルとしても使えそうです。
PMOに属している方はもちろん,システム開発に携わっている方には是非お奨めしたい良書だと思います。