スカルラッティは軽やかに歌い、リストは技巧的に変態チック。
ショパンの舟歌の終盤部の爆音は人間技ではなく、幻想ポロネーズの演奏は思わず笑ってしまう。
驚愕を通り越した結果の感情である。
一部ライブ録音もあり、聴衆の気が違った様な感激の声は度肝を抜く。
星条旗よ永遠なれ。彼の2回目の録音が収録されている。
全曲通してだが、単なる技巧的な演奏としてはやはり衰えを隠せない。
しかしそんなことを言うのはナンセンスで愚かな事である。
表現解釈、音の作り方にはさらに磨きが掛かった演奏。
決して超絶技巧をひけらかす演奏ではなく、芸術性も高い。
音質も後期な録音だけにホロヴィッツトーンが随所にまで堪能できる。
ある意味、ホロヴィッツが「心技体」丁度良くまとまった演奏ではないのだろうか。
貴重なCDである。
中でも彼の弾くスクリャービンが好きだ。 破壊的で、でも繊細。その紙一重さを表現出来るピアニストって少ないと思う。