これほどのピアニズムを誇るピアニストが、今日存在するだろうか。四の五の言わず、とにかく鑑賞して頂きたい。このCDとDVDのセットで、ピアニストとしてのホロヴィッツと一人の人間としてのホロヴィッツを垣間見る事が出来るだろう。

因みに、先にレビューを書かれている方が、DVDの後半は初出と書かれておられるが、それは誤りで、CDの内容、DVDの内容共に、全て既出である。

間違いなく20世紀の偉大なるピアニストの一人であった“ホロヴィッツ”

このCDには1962年以降、CBSに録音された音源が作曲家別に収録されており、
リマスター化されているためか音が良く、音圧やバランスも均一化されています。

彼の個性的な超絶技巧ぶりが堪能できるというよりは、
むしろ繊細な指運による美音が楽しめる選曲となっており、
あたかもホロヴィッツ自身へのレクイエムの様な雰囲気があります。

DVDでは1982年ロンドン公演でのラフマニノフのピアノソナタ第2番が特に感激ものでした。
この曲は1968/1980両年の音源が現在でも聴くことができますが、これほど余裕たっぷりに
弾かれているとは想像すらできませんでした。やはりホロヴィッツは私にとって巨塔なのです。

邦題は“ホロヴィッツの想い出”となっていますが、若い方逹にもこのCD/DVDに数多く接してもらい、
今からでも新たなホロヴィッツファンが少しでも増えてほしいと願います。