名人の知恵と経験の結集
★★★★★
将棋のプロとして勝負の世界を生きる棋士の思考回路は仕事や実生活でも十分に役立つ話が満載である
第1章 勝機は誰にもある
流れをつくるよりも、サーフィンのように流れにのっていく。
波はつくれないが、乗れるかどうかだ。
第3章 勝負に生かす「集中力」
将棋は勝つことが目的だが、勝とうとすることはある意味で、欲である。
その欲が考えを鈍くしたり、度胸を鈍くする
第4章 「選ぶ」情報、「捨てる」情報
自ら努力せずに効率よくやろうとすると、身につくことが少ない気がしている。
近道思考で、簡単に手に入れたものは、もしかしたらメッキかもしれない。
メッキはすぐに剥げてしまうだろう。
・・・これらはほんの一部分を抜粋しただけですがこの本がどれほど名言や実際に役立つ知恵の宝庫であるかは書くまでもない良書です
特に天才であることは述べていないが…
★★★★☆
こつこつと日々を積み重ねることだと思います。イチローも同じようなことを言っていた。継続できることがその人間のすごさなのでしょう。
棋士羽生善治が定義するプロの決断力
★★★★★
将棋棋士として活躍している羽生氏が勝負に必要な決断力を軸に名人自身が
将棋への入門〜名人位に着き、そして現在へ至るまでの成長の過程において、
どのようにして決断力を磨くに至ったかを確認していきます。
そこでは、単に棋士羽生善治としての答え、主張にとどまらず、どの様な分野で
生きていく際にも、時機に応じて求められる局面での決断力について一般解まで
昇華されています。
それらの羽生名人の凝縮された「直感の七割は正しい」などの信念は、努力と
経験に裏打ちされ解しやすく、特に専門的な分野に生きる人には、身をもって
体験していることだと思います。
また、膨大な棋譜の研究より導き出した持論は、雑多な情報が溢れる現代において
生きる情報の選び方、捨て方についての指針を示しており、大いに参考になると
思います。
考えたことを言語化して発することの難しさ
★★★★★
羽生さんの凄さは将棋の強さにあることは言うまでもない。
個人的な好みは別にして、将棋の歴史上最強の騎士を上げるなら
大山康晴さんか羽生さんのどちらかになるだろう。
羽生さんの凄さのもう一つの部分を上げるなら
「頭の中で考えていることを相手にわかりやすく言語化して話す能力」が
とてつもなく高いことを挙げたい。
本書は、羽生さんが将棋をする上で心がけていることを
「読者の皆さんにも伝えたい」という視点で
とてもわかりやすく文章にしている。
もちろん、なんどか校正を加えているだろうけれど、
それらを考慮してもなお、羽生さんの言語化能力の高さには感動する。
これからも羽生さんの活躍から目が離せない。
職人気質な勝負師の心構え
★☆☆☆☆
勝負の世界で常に頂点を競ってきた著者が、その思考や心構えについて綴ったエッセイ。
百メートルを九秒台半ばで走る短距離走者が一般のランナーに向けて自分の感覚を噛み砕いて説明しているような感じ――と言ったら少し語弊があるだろうか。
一流ならではの説得力があるように思われるが、実際に語っているのはあくまで基本的なことあり、その分野の常識を中心に著者独自の見解を開陳している。
理知的だが朴訥な印象の語り口からは、天才肌というよりむしろ、不器用で一徹な努力家の人間像が浮かび上がる。
結果とシンプルに向き合うことを求められるリアリスティックな世界で鎬を削っている読者にとっては、参考になる部分があるかもしれない。
想像力を飛翔させる芸術家肌の読者や、ボヘミアン的な生き方に憧れるような読者にとっては、いささか不向きな内容と思う。