学生運動
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今回もその時代背景らしく、大学生の淳にいが学生運動に身を投じていく様子が描かれています。
ビートルズやグループサウンズに行ってしまった様に見えた千太郎、
実は理由がありそれをまた小玉先生の巧い表現で薫くんの耳に入ることになります。
千太郎と薫くんの息の合ったジャズセッションも読んでいるだけなのに、楽しい気持ちにさせてくれます。
千太郎の恋・・・律ちゃんと明るくなった薫くんの接近しそうな距離・・・
でも3人はいつも一緒でいて欲しいと願いながら、次巻発売を待ちたいと思います。
なんて気持ちのいい、そして胸熱くなる青春漫画なんだろう
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1960年代後半の地方の高校(九州は福岡県内の高校をイメージして、私は読んでいます)を舞台に、転校してきた西見 薫と川渕千太郎の友情と恋を描いてゆく青春漫画。その当時のなつかしい空気が立ち上ってくる絵柄の中に、男ふたりの同級生の友情が生き生きと、それはもう切なくなるほどに生き生きと描き出されていて、胸がぎゅっと締め付けられます。
本巻では、仲たがいしていたふたりの気持ちが歩み寄り、今まで以上に信頼関係が強固なものとなるシーンがよかったなあ。そこから、薫と千太郎ふたりのジャム・セッションへとなだれ込む場面は圧巻、怒涛の名シーン。激しく心が揺さぶられました。
作家の長嶋 有による、本の帯の文章も上手いですね。<どこまでも王道の少女漫画でありながら、二人の友情はすぐれて少年漫画的、稀有な両立がここにはある。>というもの。この漫画の魅力の核を衝いて、言い得て妙というしかないっす。
巻末の掌篇「天井娘(てんじょうむすめ)」、これがまた心あたたまる一品で、よかったー。チャーハン食べてるとき、実に幸せそうな表情を登場人物のひとりが見せるひとコマがあって、それがとってもいいんですよね。同じ著者の“チャーハン出てくるシーン”では、「川面のファミリア」(『光の海 (フラワーコミックス)』所収)、あれもハートウォーミングで素敵な作品だったな。
著者の漫画をとりあえず何かひとつ、読んでみっかなとゆう方には、『羽衣ミシン (フラワーコミックス)』をおすすめします。鶴の恩返しならぬ白鳥の恩返しを描いて、胸熱くなる恋の物語に織り上げています。こちらも、ぜひ!
想えば想うほど辛い
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60年代後半。地方の町を舞台に、真面目で成績優秀な薫と不良番長の千太郎との友情、千太郎の幼なじみで心優しい律子との恋愛などの人間模様を、ジャズを主軸に描いた作品。 作品全体としては、落ち着いていて、どこか懐かしい気持ちになるような、小玉ユキさん独特の世界観が確立されているのですが、まるで自分がいち登場人物になったように、ぐいぐいと引き込まれていく点がなんとも魅力的です。 喧嘩をしてしまった薫と千太郎のその後の関係は??淳兄が帰ってきたとき、百合香と千太郎は??揺れる律子の恋心…等、今回も見逃せない展開となっており、それぞれの人物の心情がとても丁寧かつ印象的に描かれています。その表現力には思わずため息がでてしまうほど秀逸です。 この作品を読むと、相手を大切に想えば想うほど、すれ違いが辛くて苦しくて仕方ないということが痛いほど感じられます。たとえ傷つき、ボロボロになっても想うことを止められない人間の真理が描かれているような気がします。 ただ"好き"というだけでは片づけられない心情が、とても温かく、とても切ないです。ぜひ読んで頂きたい作品です。
新刊漫画店
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発売中。60年代後半の高校生青春物語。地方の町に転校した高校生・西見薫はストレスで吐き気を催す様なナイーブな側面を持つ一方、自分の意見を通す芯の強さも持っていた。転校先で出会った喧嘩の強いバンカラ・川渕千太郎や千太郎の幼馴染でクラス委員の迎律子さんたちとの新しい生活が始まる。ジャズを通して甘くせつない青春が描かれます。