インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

密室キングダム (光文社文庫)

価格: ¥1,700
カテゴリ: 文庫
ブランド: 光文社
Amazon.co.jpで確認
哀しき密室の物語 ★★★★☆
江戸川乱歩氏や二階堂黎人氏の作品のような雰囲気が漂うなか、次々と起こる密室殺人事件。密室は物語の設定と不可分のものであるため、必然性があり、犯人こそ終盤であかされるものの、密室のなぞ解きは順次行われていくので、900ページを越える大作だが、退屈することはない。
ただ、論理的な解明が不要でよければ、犯人を推測することは、ミステリなれした人にとって、難しくないと思う。
ラストシーン近くに雨が急に降り出すシーンがある。この哀しい物語を象徴する涙雨といえるかもしれない。
間違いなく良作なのだが… ★★★★☆
非常に誠実な作品です。
数えきれないくらいの伏線を張りつつ、全てを納得のいく形できちんと回収しています。
やや強引な設定もありましたが、読後に消化不良は感じませんでした。

以下、辛口ですが…
文章に面白みがない。この作者の特性と言ってしまえばそれまでですが、会話文の合間に入る文が普通すぎます。
厚い本ですので、長い心理描写もところどころにあるのですが、個性が無いというかあまり目を惹く表現がありません。
また、最後の章は必要だったのか…。
このシリーズを他に読んだことがないのでこういう感想になってしまうのかもしれませんが。
《南美希風》シリーズの第三長編 ★★★★★

五つの密室事件が扱われている本作。


第一の密室は、いわば“三重密室”。その最終ラインは、出入り口のそばに居た
人々による“視線の密室”なのですが、犯人は、心理的仕掛けをほどこすことで、
思いもよらない密室からの脱出方法を隠蔽しています。普通なら禁じ手と言える
その脱出方法を成立させるために、“三重密室”を構成することでカムフラージュ
しているのが秀逸です。


第二の密室は、茶室の襖に、木の枝とはさみを刺すことで構成した“和の密室”。
形態だけでなく、動機も他の四つの密室とは異質で、その切実さが胸を打ちます。


第三の密室は、犯人が構成した密室の外側に死体があるケースで、密室
内部に容疑者が倒れているという、カーの×××的趣向も採られています。

よく練られた独創的な物理トリックが用いられており、感心させられました。


第四の密室は、椅子に縛られた被害者を残し、直前
までいた犯人が、密室から忽然と消す、という趣向。

古典的な小道具が用いられているのですが、
それを気取らせない隠蔽の仕方が秀逸です。


第五の密室は、暖炉に頭を突っ込んだ謎の男
を残し、犯人が密室から消失するという趣向。

密室の扉に貼られていたイシスの紙が、装飾の意味だけでなく、脱出する
うえで、実効的な影響も捜査陣に及ぼしていたというあたりが素晴らしい。

真相は、第一の密室と同様、普通ならアンフェアのそしりは免れない代物なのですが、
「顔を焼かれた謎の男」といった存在を導入することによって、ギリギリのところで反則
にはしていないのがお見事です。



本作は、圧倒的なボリュームと大時代的な世界観で、明らかに一般受けはしない
でしょうが、愚直なまでにトリックとロジックを追究する真摯な作風は、近年、希少
であり、評価されるべきだと思います。




若き日の南美希風と五つの密室 ★★★★★

五つの密室事件が扱われている本作。


第一の密室は、いわば“三重密室”。その最終ラインは、出入り口のそばに居た
人々による“視線の密室”なのですが、犯人は、心理的仕掛けをほどこすことで、
思いもよらない密室からの脱出方法を隠蔽しています。普通なら禁じ手と言える
その脱出方法を成立させるために、“三重密室”を構成することでカムフラージュ
しているのが秀逸です。


第二の密室は、茶室の襖に、木の枝とはさみを刺すことで構成した“和の密室”。
形態だけでなく、動機も他の四つの密室とは異質で、その切実さが胸を打ちます。


第三の密室は、犯人が構成した密室の外側に死体があるケースで、密室
内部に容疑者が倒れているという、カーの×××的趣向も採られています。

よく練られた独創的な物理トリックが用いられており、感心させられました。


第四の密室は、椅子に縛られた被害者を残し、直前
までいた犯人が、密室から忽然と消す、という趣向。

古典的な小道具が用いられているのですが、
それを気取らせない隠蔽の仕方が秀逸です。


第五の密室は、暖炉に頭を突っ込んだ謎の男
を残し、犯人が密室から消失するという趣向。

密室の扉に貼られていたイシスの紙が、装飾の意味だけでなく、脱出する
うえで、実効的な影響も捜査陣に及ぼしていたというあたりが素晴らしい。

真相は、第一の密室と同様、普通ならアンフェアのそしりは免れない代物なのですが、
「顔を焼かれた謎の男」といった存在を導入することによって、ギリギリのところで反則
にはしていないのがお見事です。



本作は、圧倒的なボリュームと大時代的な世界観で、明らかに一般受けはしない
でしょうが、愚直なまでにトリックとロジックを追究する真摯な作風は、近年、希少
であり、評価されるべきだと思います。




流石の柄刀作品 ★★★★★
いや、本当に面白かったです!流石です。
次々と現れる密室に一気に読んでしまいました。
私は以前からの南美希風ファンですが、心臓移植以前の美希風の活躍は初めてだったので、ある種特別の感慨がありましたね。
吝家の三つ子のそれぞれの運命が、結局は父親を含めた下らない因習のせいだと思うと、たまらない腹立たしさにおそわれます。何より三男の三郎が哀れでなりませんでした。立派な吝家の一員でありながら、消されてしまった、隠されてしまった存在。亡くなる寸前に美希風に告げられた言葉は哀しいです。その言葉は当時の美希風の心理ともどこか同調するようにも思えます。それが美希風の涙を誘ったのでしょう。どうせ余所に移るのなら、何故父親はその際に真実を語って三男も同行しなかったのでしょう。そうすれば、このような悲劇はもしかしたら避けられたかも知れない。全ては父親のある意味の弱さ故だったのかも知れません。やはりそもそもの元凶は父親ではないのか、という思いがしてならないのです。
いや、柄刀さんの筆力に脱帽です。読み応えがありました。