琴というのにひくべからず
★★★★☆
横倉裕の名前は増尾好秋の『ザ・ソング・イズ・ユー・アンド・ミー』でアレンジャーとして参加していたことで記憶に残っていた。凄く良いアレンジャーだとは思ったんだけれど、本人のアルバムは手を出さずじまいだった。琴を使っているということで、オリエンタルな「喜多郎のような音楽だったらやだな」と思っていたのだ。趣向や経歴から考えるとそんなことはありえないのだが、琴というのにひいてしまったのだ。それで今回初めて聴いてみると、琴というのはまったく気になりませんね。都節音階で弾いているわけではないですし。強いて言うなら、ヤン・ハマーが弾くムーグのニュアンスに似ています。
全体的にはこのアルバムはブラジリアンAOR/フュージュンという感じで、トニーニョ・オルタなんかも参加していますし、イヴァン・リンスも参加しています。トニーニョとイヴァン・リンスとどちらの音楽に近いかと言われればイヴァン・リンスの方だと思います。この手のアルバムと言いますと、同じくトニーニョ・オルタも参加していた、ジョージ・デュークの『ブラジリアン・ラヴ・アフェア』が思い起こされますね。あのアルバムのような傑作だとは思いませんが、BGMとして心地よく聴ける1枚だと思います。