「お前にエルミは渡さん」
★★★★★
上記は今巻でもっとも印象深く、気に入っている台詞です。特別知識が優れているわけでもなく、かといって力があるわけでもない平凡な中年、ドミニオ。そんな彼が、妻を助けるために、「レギオス」におけるすべての元凶、イグナシスに単身挑んだときに発したこの台詞は、何のとりえも無い小悪党のものだからこそ、自分には響きました。明確に妻を愛してるといった言葉が無いことも、また現実味があっていいですね。やはり、結婚当初の気持ちを抱いたままでいることは難しいでしょうし。
「鋼殻のレギオス」の外伝という名の本編である本シリーズですが、自分は今回初めて読みます。いやはや、確かにこれ読まないと「鋼殻」を読んでもわからんことばかりでしょうね。挿絵つきなのも嬉しい。自分、黒いコートが大好きなので、シリーズ通して、アイレインが一番のお気に入りキャラになっています。「鋼殻」の方ではかなり大ピンチのようですが、何とか出番を設けて欲しいと願う今日この頃。
「レジェンド」の方では、今回初めてアイレインの妹ニルフィリア、そして元凶イグナシスが登場します。ニルフィリアのまた傲慢なこと。でも、自分を探し続けていた兄を激しく罵倒する彼女ですが、なんだか、彼女の方が兄を求めているようにも見えますね。そして、イグナシス。淡々とした口調には、人への思いやりや優しさといったものが一切欠けています。「君の身体をもらいたい」と平気で言いますからね。こういうキャラだったのか。傲岸不遜とかそういう感じでは無いですし、かえって手ごわそうな印象を受けます。
「レジェンド」の方は残り一巻。発売がいつごろかはわかりませんが、自分の予想では、九月ごろでしょうか。適当ですが。「聖戦」は文庫版出ないのかなぁ。とにかく、「レジェンド」はもちろん「鋼殻」の今後の展開にも期待したいと思います。