そう。本当はマニュアル化なんて簡単にできるものじゃない。
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世の中には、マニュアル化できないジャンルがあると思う。
でも、そのマニュアルがあると信じ、探し求め、まがい物を手に入れては
もう勝ったつもりになり、現実はうまくいかずに悲嘆に暮れる。
家庭とか子育てとかは、まさにそうじゃないだろうか。
もちろん、ケーススタディー的なハウツーは、そのケースと
全く同じ場合は非常に重宝することもあるだろうが、
まず、本の通りの状況でないことが多い。
事実は小説よりも奇なりというが、現実世界には自分の他にも
たくさんの住人がいるわけだから、至極複雑な時がある。
だから、ノウハウとはまた別の力が必要とされるのだが、
その力を育てる本があるとすれば、まさにこの本だと思った。
子供が生まれる前に、この本に出逢えて幸い。
絶滅危惧種の2人の感性がびんびんに響く!
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世間から見たらはみ出し者であるヤクザな世界で育った二人が、「親子」「男と女」「アウトロー」「教育」「現代」「死と生」について語った本。民主主義、社会正義、合理性、世間体などの理性・理屈を優先させているうちに見えなくなってしまっていたものに、キレイ事の通用しないアウトローの世界で育ったふたりの視点が気付かせてくれる。現代人が失いつつある「感性」が詰まった一冊である。
動物性を希薄にし、頭デッカチになりながら、バーチャルな不安に怯える現代人にとって、マニュアルの通用しない家庭で育ち、剥き出しの活きた感性を持つふたりの言葉、行動は「なんとかなるわ」という元気と勇気を与えてくれるだろう。今までのマニュアルが通用しないこんな時代だからこそ、友人、知人にぜひ薦めたい一冊である。
国連生物多様生年にふさわしい環境本?
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2010年は国連が決めた国際生物多様性年でCOP10「生物多様性会議」が名古屋で開かれる。
生物多様性とは、たとえば日本ミツバチなんてのは刺されると痛いからと全滅させてしまうと、花粉を運ぶ奴がいなくなって植物も絶滅してしまう、それが連鎖して多くの生物が絶滅してしまう。だからむやみに生き物を殺して絶滅させてはいけないんだという「一寸の虫にも五分の魂」という日本古来の考え方である。
本著では由緒正しい昭和ヤクザの末裔2人が、その絶滅の後にくる絶滅の連鎖を訴える。
まさにヒト科ヒトの多様性の重要さを訴えた国際生物多様性年にふさわしいヒト多様性環境本である。
蜂は警告色といって黄色と黒の目立つ色で自分が危険な虫であることを強調して捕食者から身を守る。
昭和ヤクザはじゃりん子チエに見られるような派手なチェック模様のジャケットを身にまとい堅気の人たちに自分がヤクザであることを強調していた。
実は先日、某ホテルのロビーで密談する著者宮崎学を見かけたのだが、真紅と黒の大柄の千鳥格子のジャケットは正に由緒正しい昭和ヤクザファッション的警告色だった。
しかしながら21世紀のマフィアはダークスーツに身をまとい地下に潜伏する。あるいは情け容赦のない外来種がはびこる。この事の危険を警鐘した環境本が本著である。