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お父さんの石けん箱―愛される事を忘れている人へ。 (角川文庫)

価格: ¥700
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店
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物事の成り立ちを考えれば、生きる術だった。 ★★★★★
 山口組三代目、故田岡一雄の長女として生まれた著者が描いた田岡家の話しである。
 親分の家となるとすさんだ空気が淀んでいると思うが、普通の家庭である。むしろ、自身の生い立ちと同じ環境を息子や娘には経験して欲しくなかったのだろう。
 親子は別人格であるが、やはり、「ヤクザの娘」ということで著者はいじめられている。山口組とは何かという問いに、「学校のクラブやサークルのようなもの」と父は答え、「男は弱くて淋しいから皆で集まる」という言葉に思わず微笑んでしまった。

 山口組の鼻祖は、九州筑豊の石炭を川船に乗せて運んだ吉田磯吉といわれる。磯吉は武家の出であるが、明治時代、食べるためには何でもやらなければならなかった。その磯吉は北九州の若松港で沖仲士業を営むが、そのことは火野葦平の『花と龍』に詳しい。社会の底辺にうごめく男たちが表社会と戦うには団結するしかなく、業種ごとの組を構成していくことになる。
 様々なエピソードが紹介されているが、初物の一本の松茸を三代目が小さく割いて、強面の親分たちに食べさせるという光景はまさに家庭における親子の姿である。親分、子分とはいい得て妙である。
 世間では暴力団員が増加していると言われている。暴走族も壊滅していない。三代目の言葉を借りれば「淋しい人間」が増えているということになる。

 ちなみに、吉田磯吉は衆議院議員として国政の場にも登場しているが、小泉元首相のおじいさんもワイシャツの袖口から入れ墨がのぞく大臣だった。明治の時代、明日をも知れぬ庶民が多かったが、その庶民が生きる術が親分子分の世界だったということになる。
 その組織を嫌うのではなく、なぜ無くならないのかを考えるべきと思う。
興味深い本ではありますが・・・ ★★★★☆
なかなか興味深く面白い本ではありましたが、やはり娘さんが描く父親の家庭の顔以外は本当かどうかは疑問が残ります。
例えば菅谷という幹部がピンチを親分に救われたという箇所がありますが、僕が読んだ数冊の他の本では全く逆の事が描かれていますし(映画でもこの部分がありました)、大親分の可愛い娘さんですから、皆さん組の事は娘さんには知られないよう相当気を使ったことでしょう。
一読の価値がある、愛娘が描いた田岡組長の姿 ★★★★★
お父さんの石けん箱       田岡由伎
カウンセラーとして活躍する田岡由伎さんの父親は、山口組の田岡一雄三代目組長であった。快活で、繊細な感性を持つ彼女は、実にしっかりとした家庭教育を受けている。父親からも、母親からも。そして、彼女の目から見た、田岡組長の家庭は、一読に値する。
数々の興味深いエピソードがある。
父親と『三代目襲名』の映画を見に行ったとき、田岡組長はマスクとサングラスをして、コートの襟を立てて、娘と座り、護衛の子分が後ろに並んだこと。かえって目立つから、マスクもサングラスもはずして欲しいと言ったら、「そんなに目立つか。そうかなあ、なら取ろうか」
そう言ったとき、横のおじさんが読んでいる本を見たら、父親の顔がバッチリ出ていて、「あ、とったらあかん」
 組長宅で奉公していた、ゴンさんという仇名の若い衆は、字が書けなかったが、文子夫人に習って、嬉しくて中学の先生に手紙を書いたことも、噴出すような面白さであるけど、心が温まる話である。彼が書いた葉書は次のようなものだった。
「先生、ぼくは字が書けるようになりました。今、一生けんめいに、極道の道にまいしんしております。ご安心ください。」
 真面目な彼は、後年堅気の会社の社長になったという。
この本は、田岡組長を描くと同時に、文子夫人の真実をも描いている。田岡組長に心底惚れ抜いている姿。 組員を家族のように世話し、母のように慕われていたこと。
 田岡組長の臨終のとき、看護と葬儀による過労で、倒れそうになりながらも、香典袋を焼いていたこと。これは、名前を書いた香典袋が警察の手に渡って迷惑をかけることを恐れたためだという
どんな世界でも人の上に立つ人間は違う ★★★★★
田岡組長が亡くなったのは私が中学3年生の頃。一度でいいからお会いしてみたかった方です。世代的にいっても100パーセント無理なわけですが。
田岡組長は、周囲の堅気の人には、腰低く優しくと心掛けておられたようです。どんな若い人に対しても誠意を持って接する姿勢は、本当に素晴らしい。
父親としても、子供の人格を尊重して育てていた様子がよくわかりました。
娘というのは大概、思春期に父親から離れるものですが、本当に仲の良い父娘だったようで羨ましい限りです。
そして世間一般の親と同じく子供には、非行に走って欲しくないという心配や親心。
著者は「田岡の娘」として、虐められたり避けられたりと大変な思いをしてこられたようですが、それでも曲がらずに育ったのは、子供の人格を尊重していたご両親だったからではないか
と思います。
田岡氏の身近な人の話で田岡がよくわかるが、すこしきれい事すぎる気も。 ★★★★★
田岡一雄という男に惚れこんでいる私は類書をあさり読んだが、この本は他の本と違い人間田岡がわかる。
田岡氏は黄金律(自分がしてほしいことを人にする)をすごく実践していた人であり、信頼感のある人柄のいい人格者だったことが伝わってくる。

また田岡氏は山口組を親睦団体で、弱くて淋しい男達が集まって手を握り合っていくものと考えていたのがわかる。
田岡氏はすごくやさしい男だったことが伝わってくる。

確かに山口組は組員に正業を持たせていたのでけして反社会的な団体じゃないと思うが、汚い世界でここに書かれているような正義を地で行くような人が勝者になっていけるものなのか疑問も残る。
しかし田岡は任侠界の二ノ宮尊徳のような存在であったことは間違いない。

この本はつらいことがあると何度も読み返してしまう、こころに染み入るものがある。
ある意味その部分が組員が進んで田岡のために全国に殴りこみをかけた動機に繋がる田岡のカリスマ性なんだと思う。
けしてそのように振る舞えば田岡のような結果が出せるとはいわないが、なにか生き方を学んだ気がする。