名著中の名著
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つり人ノベル版がいつの間にか絶版になっていて幻の名著と化していましたがめでたく復刻。先代金馬を聞いたことがない人でも、いや落語を全然聞いたことがなくとも絶対楽しめる全読書人必読の名著中の名著。
あらためてこの名著を読むと、最近の落語本が落語おたくにしか向けて書かれていないかがよく判ります。
落語家が書いた本のベスト、落語ファンの必読書!
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三代目金馬は、いわゆる落語通といわれる人や評論家からの受けは悪かった。
しかし、子供時分にラジオで最初に聞いた金馬の噺は、分かりやすくて可笑しかった。
『居酒屋』や『薮入り』『やかん』など今でも思い出すし、音源も豊富に残っている。
そして、この人自身が、とんでもない博識で、いわゆる「やかん」だったと思う。
金馬の落語や趣味などに関する幅広い知識や思いを少しだけお披露目したのがこの本
だといえるだろう。
落語家が書いた本として、私はこの本をベストワンに推すことをためらわない。
各章のタイトルを見るだけでも、この人は並の「やかん」ではないことが一目瞭然である。
「芝居と落語」「落ちと当意即妙」「寿限無論」「符牒の語源」「釣りは童心」などなど。
「今夜はスイバレだからキンチャンカマルよ」
―この言葉の意味は「符牒の語源」で説明されている。
落語『寿限夢』の中で登場する「五光」とは何か?
―もちろん、本書にしっかり説明されている。
名人金馬という人を知り、落語の背景を知り、江戸や明治・大正、そして昭和初期の
風俗・文化を知る、そういったすべてが盛り込まれた贅沢な本。落語ファンの必読書!
上質の落語エッセイ
★★★★☆
金馬師匠と言うと、当代(4代目)が思い浮かぶ人が多いと思いますが、この本は先代(3代目)の金馬師匠です。
金馬師匠は子供から大人まで楽しめるように、噛んで含んだように、わかりやすく丁寧な噺を聞かせてくれましたが、文章もまったくその通りで、昭和初期の風俗や、落語のウンチクなどが、軽妙にわかりやすく書かれています。
落語ファンになって、2〜3年ぐらいの方にお勧めしたい一冊です。