手軽なドヴォルザーク本を探していて
この本を通販で購入しました。
かつて新潮文庫から出ていた「カラー版
作曲家の生涯」シリーズにたしか
ドヴォルザークはなかったので、
この本を手に取ったのは偶然なのですが、
その充実ぶりには驚きました。

本論の前編ではドヴォルザークの生涯が、
後半ではジャンル別に彼の作品が詳述されています。
資料編として、ジャンル別になっている
作品一覧やドヴォルザーク年表も有用性が高い
と思います。

コンパクトな新書サイズながら小さめの文字で
本論230頁超。けっこうなヴォリューム感があります。
お値段は1200円（税別）でしたが、その値段以上の
価値のあるお買い物をした気分です。
この音楽之友社の「作曲家・人と作品シリーズ」の
他の作曲家の本にも手を伸ばしてみたいと思いました。

何よりもすばらしいのは、巻頭にチェコ国民楽派が誕生するまでのチェコの音楽史があること。これにより、ドヴォルザークの音楽が生まれた背景がきちんととらえることができる。
評伝、作品解説はいずれも詳細。作品篇では、その音楽が聞こえてくるようです。
巻末にまとめられた作品一覧は、すべての作品について、判明している作曲年、初演、出版の情報が整理されており、大変に便利。
文句のつけようがない評伝です。