テンポ設定を極端に遅くとり、細やかなフレージングを丁寧に組み立ててゆき、悠然たるクライマックスには、静かだが激しい感動。クライマックスに向かって、表情が顕在化することはなく純粋なパッセージとして歩進してゆく分、クライマックスでは「抑制した高揚」とでもいうべき、純粋な陶酔に陥る、といった特徴はドボルザークでもみられるが、むしろ曲のもつ素朴な味わいを純音楽として表現する原点に最後、戻った感もあります。フランス音楽もなかなかどうして、ドビュッシー「海」など陽にかがやく海の光彩を描写するかのような、精緻な弦のアンサンブルが印象的で、並みいる名盤の最有力に挙げたい一枚です。ドヴォルザーク9番は廉価盤にあたり、「海」のカップリングはなし。廉価盤8番には「マメールロワ」が入っています。今日は、30年近く前にシカゴで入れはったマーラー9番の終楽章を聴いて、合掌したいと思います