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いちばん大事なこと ―養老教授の環境論 (集英社新書)

価格: ¥713
カテゴリ: 新書
ブランド: 集英社
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「手入れ」の発想の素晴らしさ ★★★★☆
 まずは「序」が素晴らしい。春の小川の様にさらさら流れていく文章を目で追っていくうちに、次第にくっきりと浮かび上がってくる著者の思考の切れの良さに思わずうっとりしてしまいます。
 それにしても、日本人が自然との向き合い方として取り入れた「手入れ」という発想の素晴らしさには、改めて日本人としての誇りを感じることが出来ました。
 欧・米・中は土地が広大なゆえに自然破壊と集団移動を繰り返してきたこと。一方日本は土地の狭さ故に自然に「手を入れる」ことにより何度も自然を再生させ、人と自然の共存を図ってきたこと。このどちらが世界の環境破壊を防ぐのに有効な発想かと聞かれれば、この本を読んだ人なら皆同じ結論を出すでしょう。そういう意味では、世界中の人に読んで欲しい一冊です。
 日本人として改めて前向きの責任感が植え付けられたような、背筋をしゃんとさせられた気持になりました。
 
 
夢中で読みました ★★★★☆
初めて養老先生の本を読みましたが、いままで自分が持っていた価値観を揺さぶるものを感じました。
自然というシステムを壊すのは簡単だが、その逆は不可能に近い・・・なるほどと思います。
シロアリの擬態をする虫のイラストは、それ自体の説明はありませんでしたが納得するところ大です。
自動車業界で働く者として、車の排気ガスとタバコの煙は「目くそ鼻くそ」という説には全然同意できませんが、
(曲がりなりにもインフラと嗜好品の違いがある)、人体を構成する物質というベースで考えたとき、一年前の自分と今の自分は同じところはほとんどない、という事実は、解剖学者の先生らしい指摘であり、自動車業界人含め覚えておくべき科学的事実だと思います。新幹線通勤の往復で読み終えましたが、下車駅で立ち上がった目線の先の車内広告に養老先生が出ていたのがさらに印象を強めました。
システムとしての自然 ★★★★☆
 虫好きで鳴らす養老孟司教授による環境論、というか、自然に対する教授の考え方を縦横に述べたおした本です。
 教授によれば、人体であれ生態系であれ、およそ自然というものは膨大な変数の集積たる複雑なシステムである。「ああすれば、こうなる」とばかり何れかの変数をいじれば、他の変数にも必ず何らかの影響が及ぶので、システム全体としては予想もしなかったような反応が生じることになる。したがって、最初に予期したとおりの効果を得ることは極めて難しい、ということです。
 うーん、そうだったのか。文科系ドロドロ人間の小生、現代科学の水準をもってすれば自然界の森羅万象全てが計算可能であり、動植物のことであれ生態系のことであれ、何でも分かった上で病気の治療なり治水・治山なりの取り組みがなされているものと思っていました。そうでないとすると、人間が自然に対して一方的かつ大規模に手を入れるなんてことは、文字通り「神をも恐れぬ仕業」、かなりヤバイのではないかという気がしてきました。人間たるもの、やはり神と自然の前では謙虚でなければならないということでしょうか。
 そんなこんなで、とても興味深く読めた一冊ですが、最後の、今後のあるべき自然との付き合い方の部分については、現実味という観点からちょっと如何かなと思いました。
 いずれにせよ、自然と人間との関係という問題は、古くて新しく、しかもとても大切な問題です。環境問題や自然の大切さに問題意識を持たれる向きであれば、一読しても損はなかろうかなと思います。
環境のシステム論 ★★★★★
本書は昨今の環境意識の高まりを他所に、将来へ向けた具体的な指針は示さないながらも
個々人が環境という問題に触れる際に持つべきスタンスを十分に表現していると思います。
著者は一部の環境側面を捉えたデータだけでは、環境が解釈できたとはいい難く、
環境のすべては互いに連関した生体の様な複雑なシステムで成り立っており、
単なる機械などと同じ感覚で「あれをすれば、こうなる」といった予測などは
ほとんど適用できず、仮説により実践し、変動を観察して微妙な修正をしながら、
環境をケアしていくことが重要であると述べています。
そのような独自論を展開できるのも、昆虫採集に情熱を注ぎ、自然環境を肌で感じ
取っている著者だからこそ可能ならしめるものであると思われ、机上の空論だけでは
ない実地に基づいた展開は説得力があります。
将来の環境問題は単純ではないからこそ、敢えて具体的な結論として解決策が
導かれていない本書ではありますが、経済と環境を含めて大枠で俯瞰する視点を
得たいという方などにはお奨めの書だと思います。
前提が良くわからない ★★★☆☆
この本では、「日本が農村ばかりだった時代を知っている65歳以上の人たちは、皆自然のシステムの複雑さを知っていて、だから自然をむやみに壊さない」または「農村に住む人は全てエコロジスト」であるかのように読めてしまいます。農村の土建屋も一生懸命土手にコンクリートを打っているし、農村から出ていった政治家が、せっせと高速道路を作らせているような気がします。
最後の「ではどうすればよいか」でも、およそ実現の可能性がありえないようなことを言っておいて、「はい、とりあえず自分は解決策を出しましたよ。実行するかどうかはあなたたち次第です」のような感じで、あまりよい印象を得ませんでした。